なぜ老害が若年化? 20代後半でも知らないうちに…鈴木おさむが提唱「ソフト老害」

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜6:59~)。「激論サミット」のコーナーでは、昨今話題の“ソフト老害”について議論しました。

◆"老害”と"ソフト老害”の違いとは?

老人による害"老害”を巡る新たなキーワード"ソフト老害”が話題になっています。

これは放送作家(※3月31日をもって放送作家業は引退)の鈴木おさむさんが1月に発売した著書「仕事の辞め方」(幻冬舎)のなかで提唱した言葉で、鈴木さんにその真意を聞いてみると「30代の人と自分たちより上の世代の人の間でバランスを取り、若い人の気持ちがわかるふりをしながら、結果として若者たちの意見を潰している。それは老害に近い感じだが老害とはまた違うと思い"ソフト老害”とした。あえて強めの言葉にすることで気づいてほしい」と解説。

若き老害を提唱する、労働社会学者で千葉商科大学・准教授の常見陽平さんによると、老害と言われるのは主に50~60代で、自分の考えや成功論の押し付け、パワハラに疎いのが特徴。一方、ソフト老害の対象となるのは20代後半~40代で、「君のためを思って」など回りくどい言い回しで、パワハラに警戒しているのが特徴だとか。

キャスターの堀潤は「これは身につまされる話」と苦笑いを浮かべると、株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは「難しい時代になりましたね」と率直な思いを口にします。

一方、お笑いコンビ・髭男爵の山田ルイ53世さんは、逆に若者に対して抵抗感があるそうで「元気のある若者のノリが苦手。(老害に対して)"ヤング害”もある」と揶揄すると、ノンフィクションライターの吉川ばんびさんも「私もそれは苦手」と同意します。

そして、吉川さんが「鈴木さんには申し訳ないけど、ソフト老害という言葉自体がビジネス的で、なんでもかんでも枠組を作り、そこに人をぶち込んで悪者を作るのはやめませんかと思う」とソフト老害という表現に否定的な意見を述べると、山田ルイ53世さんは「鈴木さんは素晴らしい方だけど"ズルいよ”。このタイミングで非常に耳馴染みのいい、パッケージ感のある言葉を世に送り出し、若い子に対して『俺は目覚めたよ』っていう感じはズルい」と話します。

小幡さんは「老害という言葉はなくなったほうがいいと思うが、そうなるとアドバイス自体できなくなる」と懸念し、さらには若者が年配の人を忖度しているなら老害、しかし、単純に若者のほうが能力が低いのであれば、老害とは言わないのではないかとも。

◆ソフト老害の主な行動様式は"MJS”

前述の常見さんによると、ソフト老害の主な行動に「MJS」があり、Mは"昔話”、Jは"自慢話”、Sは"説教”。

具体的には「仕事の武勇伝を語る」、「飲み会の振る舞い方を説教する」、「やたらとコロナ前の話をする」、「若手を理解している気でいる」といったものがあり、街頭で10~20代にソフト老害について聞いてみても同様の体験談が寄せられていました。

また、常見さんは老害が若年化していることについても言及。その理由に世代間ギャップが近年非常に細かくなってきていること、さらには人事の制度上、20代の管理職という方もいることを挙げ、「若い人たちに常識がないのではなく、そもそも人によって常識が異なるし、非常識ではなく"異常識”という状態」と指摘。

この言葉に吉川さんも頷きつつ、「ただ、老害も年齢云々よりも、風潮や価値観を押し付けないことが前提として必要なんじゃないか」と意見します。

30~40代の方にソフト老害と言われないように気をつけていることを聞いてみると、「後輩・年下と接するときには相手発信。あまり押し付けないように心がけている」(33歳 男性)、「自分は言われてイヤなことは言わない」(49歳 女性)といった意見が。

そして、ソフト老害の提唱者・鈴木さんにも同じことを聞いてみると「俯瞰で自分を見たときに、自分がドラマの出演者だったら誰が演じているのかを考えるといい。自慢話をしている自分はかっこいいのか、その役はどういう感じで演じているのか考えたりすると、自分がかっこ悪いのか、それとも本当に意味があるのかわかる」とソフト老害にならないための方法を語ります。

◆ソフト老害への対応? 対処法は?

最後に今回の議論を踏まえて、ソフト老害への対応・対処法についてコメンテーター陣が提言を発表。まず小幡さんは"評価制度を360°にしてみんなで人を評価する”と提案。「みんな一度自分が思うようにやってみればいい。それでその人から離れていけば老害、それでもついてくるならばいいこと」と簡潔に棲み分けします。

吉川さんは「自分が若いとき、何より非効率的なことを強要されるのがイヤだった」と振り返り、今の若者にもその傾向は見られるとし、"全体効率を重視した運営や場づくり”を提唱。「そうすると自ずと必要のない業務はなくなり、老害とかそういう話もなくなっていくのではないか」と期待します。

山田ルイ53世さんの意見は、"知ること”と"敬語”。「敬語で話していれば大概平和。先輩・後輩関係なく敬語で話しておけばいい」と自身の処世術を明かします。

キャスターの豊崎由里絵は"「相談に乗ること」と「ガス抜き」の違いを意識”とし、「(若者・後輩の)話を聞いて、『大変だよね』、『わかるよ』というのはただのガス抜き。それはいい人ぶりたいだけ。ダメな理由まで言うのが相談に乗ることで、(自分は)知らず知らずにただのガス抜きをしていた」と反省します。

そして、堀の意見は"聞くことは伝えること”。「何か言いたいときは"こうするべき!”から入るのではなく、"どうしたの?”と聞くことから入ることが最終的に伝えたいことが伝わると思う」とまとめると、吉川さんからは2つ目の提言が。「企画会議などで年長者の意見が通りやすいなら、匿名式でどれが面白いのか投票制にすればいい。それだったら忖度もしなくていい」とフェアな環境づくりを切望していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 6:59~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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