日本地名研究所 「川崎の町名」改訂版発行 「新たな由来」などを網羅 川崎市高津区

改訂した冊子を手にする菊地事務局長

溝口にあるてくのかわさきを拠点にする「日本地名研究所」(金田久璋所長)が1991年に編纂した「川崎の町名」を改訂した。B5判で新たな町名の由来などを盛り込み、約400頁に及ぶ。市内の図書館などに配架され、市民が閲覧できる手筈を整えている。

同書は川崎市が同研究所による協力の下、手掛けたもの。市は1964年以降、住居表示に係る整備を進める中で新たな町名への変更に伴い、古い歴史を持つ町名が失われることを危惧。町名の保存と、現在の町区域や町名の由来を明らかにすることなどを目的に91年、初版となる「川崎の町名」を発行した。

全国の調査、ひな型に

初版発行に際し、同研究所では川崎市域の地名調査を開始。文化活動を行う市民団体などにも協力を呼びかけ、30〜40人の関係者が文献資料を調べるとともに、フィールドワークや現地での聞き取り調査を実施。地名一つひとつを丁寧に調べ上げ、10年の歳月を費やして完成に漕ぎつけた。また2004年には内容を整理した『川崎地名辞典(上・下)』を刊行。同研究所の事務局長を務める菊地恒雄さんは「調査のひな型になり、全国の調査もこれにならって行われた」と振り返る。

市制100周年、機に

今回の改訂は、川崎市制100周年の節目に、初版発行後に調査・研究を進めてきた、地域の歴史や文化の内容を反映。2018年に住居表示が行われた北野川など新たな町名の由来などが盛り込まれている。巻頭には「川崎市のなりたちと地名」と題し、市域の歴史を紹介。町名は区ごとに取り上げられ沿革や由来が記されている。

市内各所で閲覧可

現在、区役所や出張所、各行政サービスコーナー、図書館、市民館などへの配架が進んでおり、各所で閲覧できるほか、かわさき情報プラザで3700円(税込)で販売も行われている。入手方法など詳細は、市民文化局市民文化振興室【電話】044・200・2122。

あゆみ知る企画展も

日本地名研究所は、地名を通して地域の自然や歴史文化を正しく後世に伝えようと1981年に川崎区で発足。全国の地名研究会の中心的役割を担っている。同研究所のこれまでの歩みを紹介する企画展「川崎の地名〜地名を通して、市民とともに〜」も、4月27日(土)から溝口にある「大山街道ふるさと館」(【電話】044・813・4705)で行われる予定。

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