豊島区 育児中の男性「やめたい」半数近くに 睡眠時間の減少が影響

豊島区が、育児中の男性にアンケート調査した結果、「子育てが大変だ、やめたい」などと答えた人が、半数近くに上ったことが分かりました。専門家は、子育てに伴う睡眠時間の減少が、男性のメンタルヘルスにも影響していると話します。

このアンケートは、豊島区が、今年2月に2歳未満の子どもがいる区内の男性、約3200人を対象に行ったもので、このうち回答があった約1500人分の結果を公表しました。

アンケートでは男性が育休を取得した際に、家事や育児を週にどれくらい行っているか聞いたところ、週に20時間以上と回答した男性は44.5%で、週に10時間未満と回答した男性は36.4%でした。

また、子育てが大変だ、つらい、やめたいと感じたことがあるかどうか聞いたところ、「ときどきある」が29.8%、「たいてい」が10.1%、「いつも」が5.4%で、半数近くが精神的な負担を感じていることがわかりました。

一方、調査では、睡眠についても聞いていて、子どもが生まれる前に、平均で6時間以上あった睡眠時間は生まれた後、家事や育児に携わることで、平均で6時間を切り、約1時間、睡眠時間が減少していることもわかりました。

アンケートに携わった平野医師は睡眠時間の減少が、男性のメンタルヘルスの不調に影響していると話しています。

豊島区が行った2歳未満の子を育てる父親を対象にしたアンケート…こちらは、子どもが生まれる前後で睡眠時間がどう変化したかを調査した結果です。青の部分の5時間未満と答えた人に注目しますと、生まれる前は6.2%だったところ、生まれた後は35.3%と大幅に上昇しています。

平均時間で見ても、6.47時間から5.67時間と1時間弱減少していまして、子どもが生まれた後の父親の約70%が、国が推奨する適正ラインの6時間以上という睡眠をとれていないことが分かりました。

ではこの睡眠時間の減少が、父親にどんな影響を与えているのか、この調査を行った医師で医療ジャーナリストの平野翔大さんに聞きました。

(医師・医療ジャーナリスト 平野翔大さん)
「育児に対して負担を感じるか、育児中に不調を感じたかのデータをとると、睡眠時間が減っている人ほど不調を感じやすくなっている。ちゃんと寝ることは、一番メンタル維持において大事ということは当たり前のこと。是非、そこに目を向けて自分の寝る時間を確保する。パートナーも寝る時間を確保するというのを産後、特に自分たちに向けて気をつけてほしい」

平野さんは、睡眠時間が減少すればするほど、不眠やうつなど、精神的な不調や負担を感じる人が増加しているとして、睡眠の重要性を再認識して欲しいとした上で、行政に求めることとして、「まだまだ色々な制度や支援が育児イコール女性という観点で、作られている父親・母親ではなく「親」に対して、社会的な支援をする体制づくりが必要」と訴えています。

父親でも母親でも健康に育児できるサポートが求められます。

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