愛犬が『ご飯を残す』3つの心理 食べてもらうためにできる対策や主な原因とは

1.お腹がいっぱい

健康な犬がご飯を食べない、またはご飯を残す理由として最も多く考えられるのが「空腹ではない」ということです。お腹が空いたら食事をして、お腹が空いていなければ食べる意欲がわかないというのは、動物として自然なことでしょう。

ただし、狩猟をおこなって食料を獲得していた野生動物の場合は、お腹がいっぱいであっても目の前にある食料は食べ尽くす傾向があります。次にいつ食事にありつけるかわからないため、「食べれるときにあるだけ食べる」という習性を持っています。

現代の家庭犬でも、そうした習性や本能が残っていて、お腹を壊しても食べ続けてしまう犬もいます。しかし、毎日決まった時間に食事を与えられているうちに、安心感からあまりお腹が空いていないと「今は食べなくてもいい」という感覚になることもあります。

そのため、お腹が空いていないと食事をしようとしなかったり、途中で残したりするということがめずらしくないのです。

原因と対策

食事の時間にお腹が空かない原因として、以下のようなことが考えられます。

  • 間食が多い
  • 食事量が多い
  • 運動量が少ない

ご飯を食べないからと心配して、食事時間以外におやつをたくさん与えていると、それで余計にお腹が空かなくなり食事を食べないという悪循環に陥ります。

また、家族がそれぞれ知らないうちにおやつを与えていて、総量が多くなってしまっていることなどもあります。おやつを与えるのはかまいませんが、食事に影響が出ない程度の量にしてください。

ある程度食欲はあり、初めは勢いよく食べていた犬がご飯を残す場合、提供された食事量が多い可能性も考えられます。ドッグフードのパッケージなどには、体重に対する給餌量が書かれていますが、これはあくまで目安と考えてください。

年齢や体質、生活環境などによって必要なエネルギーは異なるため、愛犬の食いつきや体重などを確認しながら、適量の食事を与えるようにしましょう。

また、犬がいつも食事を残す場合、犬種や体格、年齢に適した運動ができていない可能性もあります。消費カロリーが少なければ、必要とするカロリーも少なく、食欲もあまりわかないでしょう。

散歩や室内での遊びのほか、時間があるときは少し長めのお出かけをするなどして、程よい筋力をつけたり運動をさせたりしてください。

2.もっとおいしいものが欲しい

「ドッグフードは残すのに、トッピングを追加すると完食する」というパターンは、数多く聞きます。

食べ物の種類によって残すことがある場合は、簡単にいえば「わがまま」で残していることが考えられます。また、ずっと同じものを与えていると飽きて食べなくなることもあります。

原因と対策

犬が食の好みや気分でご飯を残す場合、特別な対応をしないということも大切です。犬がご飯を残すと、飼い主さんは体を心配してどうしても完食させようとあれこれ工夫を凝らすでしょう。

しかし、そうすることで犬は「残せばもっとおいしいものが出てくるかも」と期待して、あえて残すようになることがあります。

何日も絶食状態になるのは危険ですが、健康な成犬であれば1日程度食べなくても大きな問題にはなりません。

わがままでご飯を残していることが考えられる場合は、飼い主さんも甘やかしてしまわないようにぐっと我慢して様子をみましょう。

3.体調に問題がある

普段はご飯をきちんと食べる犬が残したり、元気がない様子が見られたりする場合は、体調に問題があることも考えられます。

また、食べようとしているのに食べあぐねていたり、食べるのにとても時間がかかっていたりする場合も体調の異変が原因となっていることがあります。

一時的に腹痛などを起こしているのであれば、次の食事のときにはいつも通り食べるようになるでしょう。

原因と対策

犬が体調の問題でご飯を残す場合、内臓疾患が原因で食欲がなくなっているだけでなく、歯や口内に異常があって痛みで食べられないこともあります。

また、ストレスや恐怖など精神的な不調が原因でご飯が食べられなくなることもあるので、愛犬の心身の健康に対して、日頃から関心を向けるようにしましょう。

さらに、年齢やライフステージの変化で、ご飯への意欲や嗜好が変わることもあります。常に同じものを与えるのではなく、愛犬にぴったりの食事を与えられるように意識してください。

まとめ

犬にとってご飯は健康を維持するためにとても大切なものです。そのため、愛犬がご飯を残すと飼い主さんは心配や不安を抱えることになるでしょう。

ご飯を残すようになったときは、すぐに食事を変えるのではなく、愛犬の心理を確認し、きちんと原因を探ることが必要です。

「ご飯を残す」心理や原因によって取るべき対策が異なるため、愛犬の健康を守るためにもしっかり観察して見極め、適切に対応してあげるようにしましょう。

(獣医師監修:寺脇寛子)

※動画・画像がうまく表示されない場合は「わんちゃんホンポ」サイトにてご覧ください。

© 株式会社ピーネストジャパン