能登地震の被災介護施設再建へCF 佐賀出身の藤田さん「福祉、今こそ必要」

社会福祉法人「麗心会」の藤田隆司理事長(右)と妻弘美さん(提供写真)

能登半島地震で最も大きい震度7の揺れを観測した石川県志賀町で、社会福祉施設と介護保険施設を運営する社会福祉法人「麗心会」が、クラウドファンディング(CF)で支援を呼びかけている。施設に大きな被害を受けた状態で利用者や避難者を受け入れているが、復旧に向けた修繕には多額の費用がかかるという。法人の藤田隆司理事長(47)の妻弘美さん(46)=佐賀市出身=は「高齢化が進む地域の福祉を守り抜きたい」と話している。

弘美さんは、佐賀市の致遠館高を卒業後、神奈川県の大学に進学。2003年の結婚を機に、隆司さんの故郷の志賀町に移り住んだ。法人を切り盛りする隆司さんを支えながら、隣の七尾市の訪問介護ステーションで作業療法士として働く。地震で法人の施設が被災したため、CFの呼びかけなどを手伝っている。

法人は、能登半島の西側にある志賀町の海岸近くの高台で、特別養護老人ホームやデイサービスセンター、ケアハウス、グループホームの計5施設を運営している。今年1月1日の地震で、お湯をためるタンクが壊れ、特養の入浴ができない状況が続いた。ほかにも、特養などの居室損壊や、デイサービスの天井落下、敷地の地面隆起など甚大な被害が出た。

それでも法人は、計100人弱の入所者へのサービスを続け、福祉避難所としても高齢の要配慮者らを受け入れてきた。その一方、住民の地域外への避難などに伴い、通所者は10人程度に半減したという。

隆司さんは今、利用者が住み慣れた地域に住み続けるために、この地で事業を存続させることが大切だと考えている。「地域に頼られる存在だったと地震で感じた。被災した地域では、これまで以上に福祉が求められるので、その使命を果たしたい」。施設の修繕には少なくとも1億8千万円がかかり、国などから補助金をもらっても3千万円ほど足りないという。

支援を募るCFサイトは「READYFOR(レディーフォー)」で、目標額の2千万円に対し、今月11日時点で500万円超が集まった。期限は19日。CF以外での寄付も受け付けている。法人=0767(42)8800。 (中野雄策)

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