長崎・旧魚の町団地が改修へ シェアキッチンなど交流機能を充実 DIY前提で貸し出す部屋も

旧魚の町団地、改修後のイメージ図(県提供)

 長崎県が活用策を検討していた、現存する戦後最古の団地の一つ「旧魚の町団地」(長崎市、4階建て)について、改修と運営を担う事業者が決まった。希望者に転貸する「サブリース」方式を採用。2、3階(12戸)は本年度内に入居開始予定。1階はシェアキッチンやコワーキングスペースなど交流機能を持たせ、スタートアップ(新興企業)支援に生かす。4階は現状のまま保存、展示する。
 県住宅課によると、同団地は鉄筋コンクリート造りで1949年完成した。1~3階部分の運営を担う事業者を公募型プロポーザル方式で募集。県内外から3件の応募があり、建築設計事務所「ツキノワ合同会社」(山形県)に決まった。代表の伊東優さんは長崎市出身。貸付額は税別で年約270万円。期間は10年間。
 同社の提案書によると、1階では子ども食堂や飲食店のスタートアップの利用を想定したシェアキッチンや、コワーキングスペースを運営。イベントスペースの設置案もある。
 2、3階(各6戸)は希望者に貸し出す。間取りは2K。8畳と6畳の和室でトイレ、キッチンはあるが、風呂やバルコニーはなく、事務所としての使用が想定される。インフラや外壁など最低限の改修以外は入居者自身のDIY(日曜大工)を前提としている。その代わり、賃料は広さが同程度の周辺物件と比較して半額ほどの月5万円台を予定している。
 同団地は、48年着工の「48型」と呼ばれており、全国で5棟しか残っていない。2018年度に入居者が退去してからは閉鎖されており、歴史的価値などから学識者や民間団体などと活用方法を検討していた。

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