岸田訪米も売り材料に…円安“防衛ライン”1ドル152円あっさり突破、空前の「売国」に投機筋ウハウハ

153円台も34年ぶりの安値(C)日刊ゲンダイ

日本売りが一段と深まっている。円が売りに売られ、市場が「防衛ライン」とにらんだ1ドル=152円の節目をスルッと突破。34年ぶりの安値となる160円台は目前だ。売り材料は、岸田首相が浮かれまくっている国賓訪米だから目も当てられない。「外交の岸田」を自負し、政権浮揚をかけた外遊のせいで日本は沈没。どの面下げて戻って来るつもりか。

円安が加速したのは、日本時間10日夜に米労働省が発表した3月の米消費者物価指数(CPI)だった。上昇率が市場予想を上回り、6月とみられてきたFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ開始が先送りされるとの見方が台頭。米長期金利も大幅上昇し、日米金利差を意識した円売り・ドル買いの動きが広がり、153円台の壁を突き破った。拍車をかけたのが、岸田首相の訪米ツアーだ。深夜から日米首脳会談がはじまり、その後は共同記者会見がセットされていた。

金融ジャーナリストの森岡英樹氏はこう言う。

「政府・日銀が最後に為替介入したのは2022年10月。1ドル=151円台後半だったことから、市場は152円を防衛ラインとみていましたが、岸田首相がバイデン大統領と協議をしている最中に介入はできまいと足元を見られた格好です。緊密な日米関係の演出を目的とした訪米中に、為替操作国と見なされるようなマネはできない。投機筋にそう見透かされ、円売りポジションをとられてしまった」

投機筋はやりたい放題

為替介入の実行にあたっては、相手国の理解を取り付けるのが不文律。岸田首相は米国に足を踏み入れた瞬間から「日本は米国にとって最大の投資国だ」と触れ回り、貢献を喧伝しているのに「介入しますんで、ひとつよろしく」とは口が裂けても言えないだろう。岸田首相の帰国予定は14日午後。それまで投機筋はやりたい放題だ。

「介入の原資は外貨準備。取り崩すには、その大半を占める米国債を売却しなければならず、米国債の利回り上昇を招いてしまう。すると日米金利差は拡大し、円安は加速する。いずれにせよ、ジレンマから抜け出せません」(森岡英樹氏)

米国隷従を徹底した安倍元首相を超える空前の朝貢外交を展開中の岸田首相は、軍事面では在日米軍と自衛隊の一体化を深化。売国奴と言わずして何と言うという話だ。

「外交の岸田」は浸透する兆しが全くないが、「売国の岸田」はしっくりくる。

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