「会社で花見」3割以下…大企業ほど開催せず、桜はプライベートで楽しむ時代に

社内イベントではなくなった(C)日刊ゲンダイ

会社の上司や同僚と、満開の桜の下で大宴会──。そんな光景はもはや過去のものとなりそうだ。

東京商工リサーチが11日に発表した企業調査によると、今年の「お花見、歓迎会・懇親会」の開催率は29.1%にとどまった。コロナ禍前の2019年の開催率51.8%から、22.7ポイントも下落した。

「参加人数や滞在時間などに制限を設けている企業はわずかだったため、今年はコロナの影響はほぼなくなったと言えます。それでも開催率が元に戻らないということは、企業がお花見を開かなくても特に問題はないと判断したのだと思います」(東京商工リサーチ情報本部の担当者)

人々の価値観の変化もあるようだ。

「昨年末に行った忘年会・新年会の調査でも、開催率は55%にとどまりました。開催しない理由は『開催ニーズが高くないため』が一番多く、『参加に抵抗感を示す従業員が増えたため』が2番目に多かった。このあたりはお花見の開催にも関係しているのでしょう」(前出の担当者)

つまり、社員があまり行きたがらないのだろう。

また、開催をやめたのは中小企業より大企業が多い。中小はコロナ前の19年が50.16%で、今年が28.46%と、21.7ポイント減。大企業は63.37%から36.72%と、26.65ポイントも下がった。

「忘・新年会の調査で、開催しない理由に開催ニーズの低下や、参加への抵抗感を挙げる割合は、大企業の方が大きかった。これはお花見にも影響しているのではないかと思います。中小企業は、家族経営などウエットな人間関係を築いているため、減少幅が少なかったのでしょう」(前出の担当者)

会社のお花見が減ったとはいえ、桜の名所などは訪日外国人客にも大人気で、今年も大勢の人でにぎわった。関西大学の宮本勝浩名誉教授は、今年のお花見の経済効果は約1.1兆円になると推計。前年より拡大している。お花見を楽しむ人そのものは減っておらず、プライベートで楽しむ形に変化しているようだ。

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