今さらですが 給湯器の悪質「点検商法」の相談急増 広島県内2023年36件、前年の4倍超 県「その場で契約しないで」

業者が残したとみられる不在票。フリーダイヤルを載せ、住人からの連絡を促していた(画像の一部を修整しています)

 ガス給湯器の無料点検を持ちかけて不要な交換や高額な修理代を求める悪質な「点検商法」の相談が、広島県や県内市町の窓口に相次いでいる。相談はいずれも県東部からだが、広島市内でも悪質な事例があるとの情報もある。県は「その場で契約せず、販売店やメーカーに相談を」と呼びかけている。

 昨年11月、県東部の80代男性方をメーカーの下請けを名乗る業者が訪れ、無料点検を提案した。点検後、業者から「追いだき機能を取り換える必要がある。通常60万円だが35万円にする」と言われて契約した。メーカーに後日確認すると工事は不要だった。交換代は「20万円前後」という。

 県消費生活課によると、給湯器の点検商法に関する県内からの相談は2021年6件、22年8件だった。23年は36件と大幅に増え、特に同年12月は15件と突出。ことしは3月末までに計16件と前年を上回るペースだ。

 相談は福山市や尾道市、三原市からが目立ち、大半は60代以上という。広島市からの相談はないが、市内のガス販売店は悪質な事例が最近あったと証言する。この店では3月中旬、いずれも安芸区の高齢者から相談を3件受けた。事前に無料点検の電話があった後、郵便受けに県外の業者名で連絡を求める不在票が入っていたという。

 消費者問題に詳しい広島弁護士会の森友隆成弁護士は「住人から電話をさせて訪問を求めたように装う手口」と指摘する。特定商取引法は消費者が業者に訪問を求めた場合はクーリングオフの適用除外と定めるが、「この場合はクーリングオフできる」とする。

 電話相談は市町などの窓口につながる消費者ホットライン188番(全国共通)へ。

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