「ちびっこ相撲史に残る」ネットで話題になった40秒の熱戦から5年、15歳が元琴奨菊・秀ノ山親方に誘われ角界に挑戦

元琴奨菊、秀ノ山親方の前で健闘を誓う元村康誠さん

佐賀県武雄市立北方中を3月に卒業した元村康誠さん(15)が、大相撲の元大関琴奨菊、秀ノ山親方(40)の内弟子になって角界入りする。北方小4年時に出場した全国大会「白鵬杯」での一番が「ちびっこ相撲史に残る」と話題になり、当時から交流がある秀ノ山親方にスカウトされた。元村さんは「中卒で入門するからこそ相撲に集中して練習を重ね、親方を上回る横綱を目指したい」と活躍を誓う。

元村さんは小2で地元の「北方相撲クラブ」に入って競技を始めた。白鵬杯出場時は身長130センチ、体重30キロで、個人戦で70キロの相手と対戦。土俵全体を使ったスピーディーな動きや足取りなどの多彩な技を繰り出し、最後は背中から倒されそうになりながらも体を大きく反らして耐え、切り返して40秒の熱戦を制した。この一番で大会の敢闘賞に選ばれたほか、ネット動画も繰り返し再生され、全国から称賛を集めた。

「あの勝負は実力以上の力が出た。そこから相撲の魅力にはまっていった」と元村さん。現在の体格は161センチ、70キロで、北方中3年時に出場した全国中学選手権では3人ずつで競う団体戦の中堅としてチームの5位入賞にも貢献した。その活躍を見守ってきた秀ノ山親方から、「体の小ささは必ず武器になる。自分だけの相撲をめざし、ともに頑張っていこう」と誘われ、角界入りを決めた。

今後は佐渡ケ嶽部屋に入門して夏場所の新弟子検査に臨む。秀ノ山親方は今年の九州場所に合わせて佐渡ケ嶽部屋から独立する準備を進めており、元村さんも親方とともに部屋を移る予定。3月31日には地元武雄市で壮行会があり、元村さんは集まった約70人に、「自分の夢に向かって一生懸命練習して、親方や監督に恩返ししたい。今まで支えてくれた両親にも早く親孝行したい」と決意を述べた。
(糸山信)

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