【大会展望】優勝争いは2連覇を目指す武南、S1勢を中心に展開

武南の選手たち

 令和6年関東高校サッカー大会埼玉予選は4月13日、昨秋の全国高校選手権予選ベスト8と新人大会各支部予選の上位校を合わせた計30校が参加して開幕する。プレミアリーグEASTの昌平、プリンスリーグ関東2部の西武台は出場しない。決勝は4月29日、浦和駒場スタジアムで11時開始。ファイナルに進んだ2校が本大会(5月25~27日・千葉県)の出場権を獲得する。

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 優勝争いは2連覇を目指す武南、新人大会4強の浦和南、同ベスト8の聖望学園、昨季の県S1リーグを制した正智深谷のほか市立浦和東京成徳大深谷武蔵越生のS1勢を中心に展開されそうだ。

浦和南DF西村宗貴(2年)

 2月の新人大会で西武台と優勝を分け合い2連覇を遂げた武南は、河西琥と大熊來瑠の両FW、MF畑乙樹の3年生が攻撃の軸となり、守備ラインは主将のCB杉浦陸玖(3年)がリードする。軽やかなドリブルと正確なパス交換による展開は質が高い。ただ4月7日のS1リーグ開幕戦では、前半14分までにいずれもミスから4失点し武蔵越生に完敗。初戦までに修正できるか注目したい。

 前回の全国高校選手権予選で準優勝した浦和南は、長いキックと対人の強さを前面に押し出した攻撃が持ち味。MF日高大佑(3年)のドリブルとパスから、FW掛谷羽空(3年)をターゲットにした流れが得点パターンだ。ふたりとも全国高校選手権予選を経験している。守備は主将のCB西村宗貴(3年)を軸に堅く、タイトで粘り強い試合運びができる。

聖望学園FW10ファサン・ダニエル

 武南と浦和南は、4月14日の2回戦から登場する。

 昨年の全国高校選手権予選4強の聖望学園は、例年以上にパワフルなチームになった。FWファサン ダニエルとFW増本怜音(ともに3年)の重戦車のようなドリブルは、対戦相手には脅威の的。左右のSBをこなすペイトン有玖主(3年)のスピードに乗ったサイドアタックも、チームの特長のひとつだ。

 正智深谷は新人大会1回戦で西武台に敗れたものの、CKによる1失点とCB佐藤飛友(3年)がまとめる守備は堅固だ。MF吉田匠吾(3年)の良質なキックとMF赤川空音(3年)の的確な球出しをベースに攻撃を仕掛ける。得点力がやや低いだけに、少ない好機を確実にものにできるかが上位進出のカギを握る。

 全国高校選手権予選8強の市立浦和は、FW田中悠真やMF高橋隼、CB田邉快斗(以上3年)ら当時のレギュラーが7人も健在。この経験値は連係面などで大きなアドバンテージになるはずだ。

市立浦和の選手たち

 東京成徳大深谷もDF増田蹴人、稲積俊音と稲葉優斗の両MF(以上3年)ら昨年の主力が4人残った。前線は昨季までの2年間に比べるとやや決定力に欠けるが、ロングボールを使った攻めは迫力がある。

 ともに県S1リーグ所属の市立浦和と東京成徳大深谷は、新人大会1回戦に続いて今大会でも1回戦で顔を合わせる。新人大会は市立浦和が1-0で競り勝ったが、今回はどちらが屈指の好カードを制するか。

 武蔵越生は昨季からのレギュラーCB原田彪雅(3年)が守備陣を統率し、3人の前線のうちオビエゼ泰賀チゴゼ(3年)と眞﨑瀧星(2年)も昨年の経験者だ。DFからFWに転向した主将の高橋悠太(3年)の馬力とキープ力は、チームの屋台骨だ。

 圧倒的な強さで昨季のS2リーグを制し、1年でS1に復帰した細田学園は主力がごっそり抜けたが、並木俊輔、桑颯馬の両MF(ともに3年)ら多数の好人材を抱える。新人大会8強の狭山ヶ丘も昨季の中軸の多くが卒業。その中で主将の田口将秀と山口暖人の両CB、SB草野大和(以上3年)が最後方からチームを引っ張る。

 このほかS1リーグに復帰した立教新座、昨年準優勝の埼玉平成、新人大会南部支部予選優勝の浦和西や東部を制した花咲徳栄、昨季はともにS1に所属した浦和学院と埼玉栄の戦いぶりにも注目したい。      

(文=河野正)

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