マスターズ2度目V狙う松山英樹は大きく出遅れ…過大評価のシェフラーを蹴落とせるか(吉川英三郎)

バンカーショットを放つ松山英樹(C)ロイター

【マスターズ】第1日

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2021年大会を制して2度目の優勝を狙う松山英樹(32)は初日、1バーディー、5ボギーの76。4オーバーと大きく出遅れた。

ラウンド後、「(パットを)自信を持って打っていないから入らない。18番でボギーを打ってしまったので心は痛んでいるが、切り替えて明日で終わらないよう頑張りたい」と話した。

昨季欧州ツアー新人王で特別招待された久常涼(21)は、1バーディー、5ボギー、1ダブルボギーの78だった。

13回目の出場となる松山は、2月のジェネシス招待優勝から好調を維持しているが、強敵は初日を6アンダーで終えた優勝候補筆頭のスコッティ・シェフラー(27)だろう。

昨年の全米プロ2位で世界ランキングのトップに返り咲き、19試合を消化して3勝を含むベスト5が13回。マスターズ前の直近3試合も、2連勝、2位タイ。とにかく勢いがある。同ランキングの平均ポイント(11.856=7日時点)は、2位のR・マキロイ(7.699)を大きく引き離している。

米国賭け屋のベストオッズを見ると、シェフラー4倍、マキロイ11倍、J・ラーム12倍と続いている。世界ランク12位の松山は21倍だ。シェフラーの4倍というオッズは、全盛時のタイガー・ウッズでもなかったかもしれないが、ウッズと異なるのはツアーのレベルだ。

今はLIVゴルフに移籍したトッププロが米ツアーにおらず、明らかにフィールドは弱体化している。しかも、世界ランキングのポイントが米ツアーに過分に与えられているため、下位と大差がついてしまったとも言える。

シェフラーの真価が問われる一戦に

例えば、「第5のメジャー」と呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権の優勝は80ポイント。メジャー優勝の100ポイントには及ばないものの、ポイント配分が最初から決まっているのはメジャーとこの試合だけ。ちなみに80ポイントというのは、国内ツアーなら12、13勝に匹敵する。今のポイントシステムでは、米ツアーでプレーしない限り、世界ランキングの上位に食い込むことは難しい。

シェフラーは2年前のマスターズ直前に5戦中3勝をあげ、世界ランクトップに立ち、オーガスタを制したことは記憶に新しい。しかし、今もLIVの選手が米ツアーにいたら、トップの座に君臨していられるかは疑問が残る。

今年はLIV組から、マスターズ3勝を含むメジャー6勝のP・ミケルソン、同5勝のB・ケプカ、2勝のラームにD・ジョンソン、18年覇者のP・リード、22年全英優勝のC・スミスらが、「過去の優勝者」などのカテゴリーで出場している。ちなみに、ラームが勝った昨年の2位はケプカとミケルソン、4位はリードだった。シェフラーの真価が問われる一戦だ。

(吉川英三郎/ゴルフライター)

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