高島でブリの稚魚の飼育試験 長崎大が水産研究所を設置 宿泊施設整備の構想も

ブリの稚魚飼育試験が始まった高島水産実験所=長崎市高島町(長崎大海洋未来イノベーション機構提供)

 長崎大は、持続可能な養殖事業の実現を目指す産学官連携プロジェクト「ながさきBLUEエコノミー」の一環で、長崎市高島町に「高島水産研究所」を整備し、ブリの稚魚の飼育試験を始めた。同大の征矢野清教授(水産学)は11日の定例会見で、研究所に宿泊施設を整備し、教育・研修拠点としても活用する構想を明らかにした。
 プロジェクトは、安全安心で環境負荷の少ないブリの完全養殖システムの確立を目指す。付加価値の高い「JAPAN鰤(ぶり)」としてブランド化し、海外市場も視野に売り出す。征矢野教授は▽生産者の負担が少ない養殖システムの構築▽環境保全型養殖技術の開発▽海外を含む販売体制構築-を主要な研究課題に据え、民間企業と連携しながら、進めていると報告。新年度からは、次世代の水産業を担う人材の育成も研究課題に加えた。
 高島の研究所は、旧市水産センター高島事業所を改修し、ブリの人工種苗センターとして整備。3月からブリの稚魚を搬入し、飼育試験を開始した。今後4年間で育成し、採取した卵から人工種苗を育てる計画。
 現在の稚魚から採卵できるのは通常3年後だが、企業と連携した成長促進技術により、1年ほど前倒す見通し。秋以降は、別の受精卵からの飼育試験や天然のブリから卵を採取する技術開発も同時並行で進める。
 征矢野教授は、研究所に宿泊施設を整備し、小中高生の教育や企業の研修、大学の実習などに活用する「サイエンスアイランド高島」の構想も示した。同大の永安武学長は会見で「施設には立派な設備があるがほとんど使われていない。われわれが再活用することで、高島の地域活性化にもつなげたい」と述べた。

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