【小林製薬紅麹問題】「床にこぼれた材料」で原料製造、培養タンクに温水混入

 小林製薬が製造した紅麹を使用した自社製サプリや他社製健康食品などにおいて、健康被害が相次いでいる問題について、同社は12日、昨年閉鎖された大阪の製造工場において、一時期、床にこぼれた材料を使って原料を製造していたことや、材料を培養するタンクを温める温水がタンク内部に混入していたことを明らかにした。こうしたずさんな管理が、健康被害の原因となった可能性がある。

「蓋を閉め忘れ」材料が床にこぼれる

 同社によると、すでに閉鎖された大阪工場において、製造過程で材料を保管する容器の蓋を閉め忘れ材料が床にこぼれる事故があったが、そのこぼれた材料を使って食品向けの紅麹原料を製造していたという。製造した紅麹原料は120キロで取引先にいったん納入したが、昨年6月にそのうち119キロを回収したとしている。

 また同社は、紅麹を培養する製造工程において、タンクに入れた原料を温め、培養を促進するための温水がタンク内部に混入した事故があったことも明らかにした。混入することで意図しない培養の状態となったり、不純物が混入した可能性がある。

 これらの事故はいずれも、昨年閉鎖された大阪工場におけるものであるため、詳細な調査が困難な状況にあるが、同社は引き続き原因特定の努力を続けるとしている。

 この問題をめぐっては、因果関係はまだ証明されていないものの、紅麹を使用したサプリを摂取していた5人が死亡、221人が入院していることが明らかになったほか、同社の原料を使用した別の健康食品が販売されていた台湾においても、健康被害の報告が相次いでいる。

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