アングル:米企業の第1四半期、大手ハイテク株が増益をけん引か

Caroline Valetkevitch

[ニューヨーク 11日 ロイター] - これから本格化する米企業の1―3月期決算は、大手ハイテク企業がS&P総合500種構成銘柄全体の利益の伸びをけん引する構図となりそうだ。4月は低調な滑り出しだった米株式相場に対して楽観的な見方が再び広がる可能性もある。

米経済が堅調に推移する中で、予想される米連邦準備理事会(FRB)の利下げ時期が後ずれしたため、金利見通しを巡る不安感が1―3月期決算シーズンに影を落としている。

LSEGのデータによると、アナリストはS&P総合500種企業の1―3月期を前年同期比で5%の増益と予想。昨年10―12月期は超大型ハイテク企業が主導する形で、予想を大きく上回る10.1%の増益となった。

来週はネットフリックス、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ユナイテッドヘルス、トラベラーズといった企業が決算を発表する。

LSEGのデータによると、1―3月期はアルファベットなどを含む通信サービス部門が前年同期比26.7%の増益、エヌビディアやアップル、マイクロソフトなどを含むテクノロジー部門が20.9%の増益と予想されている。

昨年10―12月期は、通信サービス部門が53.3%の増益となり全体の伸びをけん引。テクノロジー部門は24.2%の増益だった。

投資家は人工知能(AI)を巡る楽観的な見方を維持している。ナスダック総合指数は2月下旬、過去2年余りで初めて終値での過去最高を更新した。AIブームがエヌビディアなどの大型ハイテク銘柄の株価を押し上げたためだ。

BofAセキュリティーズのストラテジストグループは11日の調査資料に「この先、AIなどの大型プロジェクトからの健全な設備投資が予想され、半導体だけでなく電力やコモディティといった分野にも恩恵をもたらす」と記した。

S&P総合500種は1月下旬以降、過去最高値を相次いで更新した。同指数は年初来では約9%上昇したが、4月に入り約1%下げている。

米労働省が今週発表した消費者物価指数(CPI)は3カ月連続で強い内容となり、一部の投資家はFRBが利下げの開始時期を9月に遅らせるとみている。

グロース株は金利の上昇に敏感に反応する傾向が強い。

ウエルススパイア・アドバイザーズのシニア・バイスプレジデント兼アドバイザー、オリバー・パーシェ氏は「FRBからの刺激が必要な経済よりも、強い経済の方が好ましい」と指摘。だが決算シーズンには「消費者の負債と債務負担コストについて、より多くの情報が出始めるだろう。支出の伸びが賃金の伸びを上回っており、こうした状況は持続可能ではない」と述べた。

1―3月期決算では、S&P総合500種の全部門のうちエネルギー、素材、ヘルスケアの3部門が最も大幅な減益になると予想されている。

一方でLSEGのデータでは、1―3月期は今年を通して増益率が最も小幅にとどまると見込まれている。今年通年の増益率は9.8%と予想されている。

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