「デイゴが咲き乱れると強い台風が来る」 沖縄の言い伝えは本当? 過去のデータを調べてみると

 

沖縄の県花デイゴ

 3~5月ごろは街路樹や公園などにデイゴの深紅の花が鮮やかに咲き誇っています。デイゴは南国沖縄を象徴するのにふさわしく、観光資源として大きな効果があること、また幹材は、漆器の材料として用いられ経済的価値も高いという理由で、デイゴは沖縄県の花に指定されています。

深紅の花を咲かせた県花デイゴ=4月2日、那覇市・天久ちゅらまち公園

「どえらい台風が来る」ささやかれた1974年

 沖縄では昔から「デイゴが咲き乱れると強い台風が来る」という言い伝えがあります。過去にデイゴが咲き乱れた年と当時の台風の状況を調べたいと思い、沖縄タイムスの過去の記事を出していただきました。

デイゴが咲き乱れたことを報じる1974年4月19日付沖縄タイムス

 1974年4月19日の記事によりますと、那覇市久茂地川のデイゴが咲きすぎて「どえらい台風が来る…」とささやかれていたとのことです。当時の台風の状況を振り返ってみましょう。

2個の台風が沖縄に大きな影響

 1974年は台風が32個発生しています。台風発生数の平年値は25.1個(現在の平年値)で、この年は台風が多く発生していることが分かります。また、沖縄地方への台風の接近数の平年値は7.7個(現在の平年値)で、1974年は沖縄地方に8個接近しています。

 さらに「沖縄気象台百年史」によりますと、1974年は台風8号と台風14号が大きな影響を及ぼしたと記載がありました。台風8号は、7月4日に沖縄本島と宮古島の間を北上し、5日に久米島では最大瞬間風速52.0m/sを観測しており、これは現在でも久米島の最大瞬間風速歴代10位の記録として残っています。

台風経路図(1974年台風8号 気象庁HPより)

 台風の接近により沖縄県内では、負傷者2人や建物半壊、道路破損、船舶沈没などの被害が出ました。台風はその後北上して"弱い熱帯低気圧”になり、本州付近にある梅雨前線を刺激して全国で大雨となり、死者145人と大きな被害を出しました。

 この時の大雨は「七夕豪雨」と呼ばれ、特に被害の大きかった静岡県では石碑を建立し後世に伝えています。

ブーメラン台風

 台風14号は8月17〜18日にかけて大東島の北から名瀬の北の海上を西へ進みました。西へ進んだ要因として、台風15号が近海にあって相互作用を及ぼしたと考えられています。台風は大陸に上陸しましたが、その後再び沖縄付近へ戻ってきて沖縄本島を直撃しています。

台風経路図(1974年台風14号 気象庁HPより)

 道路陥没や軽飛行機破損、住宅破損、農作物への大きな被害が報告されています。この台風の経路は2023年の沖縄地方に戻ってきた台風6号のブーメラン軌道を思い出す方も多いのではないでしょうか。

 また、この記事には沖縄気象台の台風予報があり、大変興味深く読ませていただきました。ことしの皆さんのまちのデイゴの様子はいかがでしょうか。古くからの言い伝えには、現在の防災につながるものも多く残っています。先人の教えも大切にしながら、毎年発生する台風への備えと最新の気象情報の入手、活用をお願いします。

 今週は、THE BOOMの「島唄」の"でいごの花が咲き 風を呼び嵐が来た”の曲を聞きながら執筆させていただきました。

4月17日ごろから「かなりの高温」予想

 4 月11日(木)に「高温に関する早期天候情報(沖縄地方)」が沖縄気象台から発表されました。沖縄地方は4月17日ごろからかなりの高温になる予想です。沖縄地方の向こう2週間の気温は、暖かい空気に覆われやすいため気温が上がりやすくなる予想です。体調管理や農作物の管理にご注意ください。
(かなりの高温の基準:5日間平均気温平年差+2.0℃以上)

那覇の4月28 日(日)にかけての天気と気温予想 ※4月12日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

大型連休スタートは?

 4月28日(日)にかけての那覇の天気と気温の予想を見てみましょう。

 この先は3日おきくらいで天気が変化しそうです。黒い雲マークの15日(月)は一時的にザッと雨が降った後は天気が回復し、18日(木)はまた雨雲がかかりそうです。この先28日(日)にかけて、最低気温は22℃前後、最高気温は28℃くらいまで上がり5月下旬ごろの気温の予想です。
湿気との戦いになりそうです。扇風機などを活用して部屋の中の風通しを良くしていきましょう。

沖縄本島地方・大東島地方の予報 ※4月12日(金)午前11時、ウェザーマップ発表
宮古島地方・八重山地方の予報 ※4月12日(金)午前11時、ウェザーマップ発表

 大型連休スタートの27日(土)、28日(日)は、現時点では、雲が広がるものの日差しがありそうです。沖縄地方の梅雨入りの平年値は5月10日ごろとなっています。

お出かけは14日(日)がおすすめ

 沖縄地方は、4月13日(土)は低気圧や湿った空気の影響で雨の降る所があるでしょう。13日(土)の未明は、沖縄本島周辺で短い時間の強い雨が降る見通しです。先島諸島周辺にも雨雲がかかりやすくなりそうです。雷雨にご注意ください。

雨と風の予想㊤4月13日(土)午前3時㊦4月13日(土)午前9時 ※4月12日(金)午前11時現在、ウェザーマップ

 14日(日)は、県内各地でおおむね晴れる見込みです。お出かけは14日(日)がおすすめです。

 この週末の最高気温は、沖縄本島地方や宮古島地方は28℃前後、八重山地方は30℃の真夏日の予想です。大東島地方は27℃まで上がる予想です。

崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
 沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。

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