衆院東京15区補選はカオスな展開…乙武洋匡氏めぐり2つの異変、自民vsファーストの会“泥仕合”

立憲民主党が擁立を決めた酒井菜摘氏(左)、小池都知事がバックアップする乙武洋匡氏(C)日刊ゲンダイ

岸田政権の明暗を分ける3つの衆院補欠選挙(16日告示、28日投開票)で、立候補予定者が乱立し、カオスな展開となっているのが東京15区だ。8人が出馬表明する中、最も優位に戦いを進めるのは、小池都知事が率いる「ファーストの会」がバックアップする作家・乙武洋匡氏とみられていたが、異変が起きている。永田町に出回る情勢調査で意外な結果が出ているのだ。

「真偽不明ですが、複数の政党が実施したと記された情勢調査があります。それによると、トップで先行しているのは立憲民主党の酒井菜摘元江東区議でした。共産党が候補を降ろして支援を決めたとはいえ、候補者乱立で票が割れて当選は厳しいという見方があった。一方、乙武さんは何かと目立つ小池知事の後ろ盾があるにもかかわらず、5位に沈んでいる調査もあります。意外な結果です」(官邸事情通)

その乙武氏を巡って、もう一つの異変が生じている。自民党の茂木幹事長が「乙武氏を推薦する方向」と明かし、公明党も追随するとみられていたが、結局、推薦見送りが正式決定した。

■「ハシゴを外された」自民関係者からは恨み節が

「裏金事件で大逆風の自民は3補選のうち、長崎3区は不戦敗、島根1区は絶望的な情勢です。全敗を避けるため、自民は東京15区で小池知事が推す乙武さんを相乗りで推薦し、『勝ち』を拾う方針でした。小池知事と自民幹部の間で話がついたはずでしたが、乙武さんが自公に推薦依頼しない意向を示した。自民関係者からは『ハシゴを外された』といった声が上がっています」(同前)

このゴタゴタを巡って、自民とファーストの会双方が泥仕合を演じている。

「『自民推薦』が既定路線であるかのように語られていますが、こっちは初めから推薦をもらいたいなんて思っていません。むしろ、裏金事件を抱える自民に抱きつかれるのは迷惑ですよ」(ファーストの会関係者)

「乙武さんは8日の会見で『推薦したい政党があるなら話は聞く』と上から目線でした。それはおかしいんじゃないですかね。頭を下げて支援をお願いするのがスジ。我々の支援なしで本気で勝てると思っているのか」(地元の自民関係者)

モメにモメた末に立憲に勝ちを譲れば、自民は3補選全敗濃厚。困るのは岸田首相だ。

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