TBS新ドラマは「伏線がいっぱい」 「殺人犯を無罪に」とインパクトある内容で「審査部、考査部と打ち合わせ」

主演を務める長谷川博己【写真:(C)TBS】

4月14日に初回放送

俳優の長谷川博己が主演を務めるTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(14日スタート、日曜午後9時)の飯田和孝プロデューサーが取材に応じ、見どころなどを語った。

本作は、「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、長谷川演じるアンチヒーローを通して、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける。スピーディーな展開で次々に常識がくつがえされていく。日常のほんの少しのきっかけ、たとえば「電車に一本乗り遅れてしまった」「朝忘れ物をして取りに帰った」、たったそれだけのことで、正義と悪が入れ替わり、善人が悪人になってしまう。前代未聞の逆転パラドックスエンターテインメントだ。

日本の刑事裁判での有罪率は99.9%と言われている。長谷川演じる弁護士は、残り0.1%に隠された「無罪の証拠」を探し依頼人を救う救世主のような人間ではない。たとえ犯罪者である証拠が100%そろっていても無罪を勝ち取る“アンチ”な弁護士で、ヒーローとは言い難い、限りなくダークで危険な人物だ。

主演を務める長谷川博己は「殺人犯をも無罪にしてしまう」“アンチ”な弁護士を演じ、主人公の法律事務所で働く同僚弁護士役には北村匠海と堀田真由、パラリーガル役で大島優子らが出演する。

――1話の仕上がりについて。

「達成感で言うと、入れ込みたかったことはできたなという感じです。手応えについては、どういう反応をいただくか分からなので、ちょっとビビっています(笑)。主人公のキャラクターがアンチな弁護士&ダークヒーローで、どこまで踏み込んでいくかっていうところは、このドラマを見たいなと思ってくれてる人が注目してくれているポイントだと思うんですが、予想よりもダークなところにいってる気はしています。

みなさんの想像でいくと、違法すれすれで潜入したり……っていうところだと思うんですけど、人間の内部などを扱おうと思っていたので、どう受け入れていただけるかは怖くもあり、ちょっと興味もある感じです」

――今の時代に『アンチヒーロー』を打ち出そうと思ったきっかけ、世の中にどういう影響を与えられたらいいなと思っていますか。

「テーマ性をよく言われるんですけど、『VIVANT』のときと変わらず、とにかく次から次へと見たくなるような、引き込まれるエンターテインメントのドラマを作るっていうことをまずは念頭にやっていました。最初に企画したのは2020年のコロナ禍が始まったぐらいだと思います。時代が立つにつれて、人を傷つけるのも簡単だし、得ていた評価とかある程度の称賛とかが一瞬にして崩れ落ちることが、昨今すごくあるんじゃないかなと思っていて。ただ、その中には、本当にそうなんだろうか、本当に真実を見れているんだろうかっていうのは常々思っています。

自分の目、耳、肌でしっかり物事を感じていかないと、それが引き金になって誰かを不幸にしてしまったり、それがはたまた自分に返ってきたりっていうのが、本当にそういった世の中になってきているかなと思っています。だからこそ、しっかり自分の感覚をもう1回大事にすることが必要なんじゃないかっていうことは、改めて思いました」

――主演に長谷川博己、北村匠海、堀田真由を起用した理由を教えてください。

「2020年に企画したときから、イメージキャストは長谷川博己って書いていました。この主人公は本当につかみどころのない人間で、何を考えているか一瞬わからない。けれども、胸の中にはすごく芯のようなものを持っているかもしれないという。人物として簡単に正体は分からないっていうところを重視していたので体現してくれる方は長谷川さんが真っ先に浮かびました。

北村さんに関しては、演じる人物がすごく難しいキャラクターだと思っています。ド新人ではなくて、ある意味、視聴者の目線的なキャラクター。どう表現していくかと思ったときに、北村さんの表現力に注目しました。それ以外にも、すごく頭のいい俳優さんだなと思っていて。自然な立ちふるまいが北村さんの特徴だと思っています。

堀田さんが演じる役は、クール役をやらなそうな人がいいと思いました。すごく柔らかくてかわいらしい印象がある女優さんで、堀田さんにやらせてみたいっていう感情でした(笑)。これをやったら面白いんじゃないかっていう。このキャラクターもいろいろなことが明かされていくんですけれども、しっかりと向き合っていけると想像したので起用しました」

――「殺人犯を無罪にする」とインパクトある発言が飛び出します。攻めたエピソードを取り扱うにあたって、会議ではどのようなことを話し合いましたか。

「脚本家とフルスイングしています。これを世に出す上ではTBSの審査部、考査部と打ち合わせをして意見をもらいながら、このドラマをどう面白くするかというのを、そういう部署の方も加わっていただいて作っていった感じです。

今の時代に伝えるべきことはこの世の中にはびこっている毒の部分っていうのをしっかりと描かないことにはちゃんと伝わらない。多分ちゃんと伝わらないと、万倍にして跳ね返ってきて、制作陣、キャストも傷ついてしまうところは避けたかったので、そこの中途半端さが命取りになるかなと思っています」

――放送後、SNSで考察などが繰り広げられそうな予感がしています。そのあたりは意識していたポイントなのでしょうか。

「殺人犯を無罪にするって、ただ事じゃない。もちろん一応エンターテインメント作品としてではあるんですけれども、その人物として成立させるために何か理由が欲しい。そうなると何かを持っている人間でなければいけない中で、いろいろストーリーを組み立てていくと、それぞれのキャラクターがいろんな側面を持っている風になっていきました。そこがちょっと考察っぽい、伏線っぽいシーンがいっぱいある題材になったかなと思います。

去年の2月ぐらいから脚本は書いているので、『VIVANT』で考察ブームになる前に結構できていました。タイミングとかはあんまり意識してなかったですけど、視聴者の方がすごくちゃんと見てくれる。見ない人は見ないと思うので、ちゃんと見てくれる方に対して、しっかりとしたストーリーを届けたいっていう気持ちがあります」ENCOUNT編集部

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