共生の学びの場に 群馬・伊勢崎市の夜間中学「みらい共創中」で開校式と入学式

開校式後に行われた入学式で新入生を代表し、あいさつする内田さん

 群馬県内初の夜間中学「県立みらい共創中」(飯嶌幸校長)の開校式と入学式が11日夜、伊勢崎市の県総合教育センター敷地内に設けた同校で開かれた。新入生と保護者、教育関係者ら計110人が出席し、学齢期を過ぎた外国人や不登校だった人らの学びを支える環境の誕生を祝った。

 入学したのは10~60代の35人。国籍は日本を含む11カ国で、ブラジル9人、日本7人、ペルー5人、フィリピン4人の順に多い。

 開校式で山本一太知事は「多様な背景を持つ生徒一人一人が思いや願いを自らの力で実現し、地域と共生しながら共に未来を創る学校にしたい」とあいさつした。

 続けて行われた入学式では、生徒代表の1年生、内田真理奈さん(24)=太田市=が「中学の学習内容をしっかり学んで力を付け、充実した学校生活を送りたい。ここで皆さんと友達になりたい」と述べた。

 内田さんは報道陣の取材に対し、中学まで不登校で通信制高校を卒業したと明かした。その後に父とツーリングで外出するようになったことから、「自信がついてまた学び直したいと思った。楽しく学んで友達ができたらいい」と話した。背中を押してくれた父からは「頑張って勉強してきて」と送り出されたという。

 みらい共創中はさまざまな事情で義務教育を十分に受けられなかったり、中学卒業後に学び直しを希望したりする15歳以上の県民が対象。設置を促す教育機会確保法が2016年に成立し、県教委が県民向けに実施したニーズ調査で設置を必要とする意見が多かったことも踏まえて開校した。増加する外国籍住民の学びの場としても期待され、日本語指導や企業と連携したキャリア教育なども予定している。

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