【解説】土地利用政策見直しへ「大変革期の諫早市」定住人口の増加目指した都市計画《長崎》

県内第3の都市「諫早市のまちづくり」についてみていきます。

諫早市では人口減少などの課題を抱える一方、半導体関連企業の工場増設や企業進出といった動きもあり、大きな変革期を迎えています。

専門家による検討委員会は土地利用の規制やあり方などの政策について、大幅な見直しを提言しました。

(委員会)

「さらに発展し、成熟した明るい都市の姿を想像できるまちづくりに取り組まれることを望む」

10日、大久保市長に提言を行った私的諮問機関の検討委員会。

2年近くにわたり「新しい都市計画」を検討してきました。

人口減少や高齢化が進む諫早市。

その一方で新幹線が開業し、半導体産業を中心にした工場の増設・新設のほか、大型商業施設の立地などが相次いで決定しています。

委員会は、こういった動きを好機ととらえ、定住人口の増加に対応できるよう「新たな土地利用への転換が必要」と答申しました。

(大久保 諫早市長)

「活気ある魅力ある諫早市の都市計画の第1歩だと思う。(土地利用の)自由度を上げることで、定住してもらい、子育てを楽しんでもらえるまちづくりにできればと思う」

「土地利用政策の転換」によって、どのようなことが変わるのか詳しく見ていきます。

提言の大きな柱の1つは「市街化区域」と「市街化調整区域」の2つの区分の廃止です。

「市街化区域」はすでに市街地となっていたり、優先的、計画的に市街地として整備するべき区域を指します。

一方「市街化調整区域」は、建物の建築などが制限される区域です。

この2つの区域の"線引き"が廃止されると、旧市街化調整区域では一定規模以下の住宅が、「市の許可がなくても」建設できるようになります。

ただ、旧市街化調整区域では土地の利用が無秩序になるおそれがあります。

それを防ぎ、地域の特性に応じた土地利用を進めるため、「特定用途制限地域」の導入を提案しています。

例えば、高速道路の『インターや産業団地の周辺地区』は、流通や工業施設、商業施設などの立地を誘導するほか、

交通利便性の高い『幹線道路沿道地区』では、郊外型の商業施設や生活利便施設。

『田園環境保全地区』では、農地と一体となった戸建てを中心に、住宅の立地を誘導することなどを挙げていて、いずれの地区でも住居環境を整えていくとしています。

現在、諫早市は半世紀以上前に長崎市、長与町、時津町との4つの市町でつくった「長崎都市計画区域」に所属しています。

ここでは、市街化区域と市街化調整区域の線引きが導入されているため、ここから離脱する方針です。

今後5年の間に3000人の雇用が増加すると見込まれる諫早市。

定住人口の増加を目指し、大久保市長は、今年度の早い段階で市の方針を決定したいとしています。

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