全仏OPのタイトルに期待が懸かるシナー、元世界1位ロディック氏は「クレーは彼にとってタフなサーフェスになる」と持論<SMASH>

今年1月の「全豪オープン」(オーストラリア・メルボルン)で悲願の四大大会初優勝を達成し、今季はすでにツアー3勝をマークしている男子テニス世界2位のヤニック・シナー(イタリア/22歳)。今週出場しているツアー大会「ロレックス・モンテカルロ・マスターズ」(4月7日~14日/モナコ・モンテカルロ/クレーコート/ATP1000)でも8強入りを決めており、マスターズ3勝目も待ったなしの状況だ。

シナーの今シーズンの通算成績は現時点で24勝1敗。この1敗は3月のマスターズ1000大会「BNPパリバ・オープン」の準決勝でライバルのカルロス・アルカラス(スペイン/現3位)に喫したもので、この数字を見るだけでもいかにシナーの強さが突出しているかがわかる。

クレーシーズンの頂点となる「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ)での四大大会2勝目を期待する声も多く上がっているシナー。だがそれに待ったをかけたのが元世界1位のアンディ・ロディック氏(アメリカ)だ。

先日海外スポーツブックメーカー『Betway』のコラムで同氏は「クレーはシナーにとってタフなサーフェスになるだろう」と主張。シナーの攻撃的なプレースタイルとクレーの特性を絡めつつ、こう続けた。

「彼が元々得意とするベースラインからの攻撃は、何よりもクレー(の特性)によって妨げられてしまう。ローラン・ギャロス(全仏)でプレーする上位2人の優勝候補の1人にはならないだろう」
またロディック氏は、どちらかと言えば全仏では昨年の同大会を制したノバク・ジョコビッチ(セルビア/同1位)やアルカラスを推していると自身の見解を示す。22年の全仏で負った右足首の大ケガから見事な復活劇を遂げたアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/同5位)にも触れ、次のように綴った。

「僕は今でもノバクが好きだし、カルロスがクレーコートでプレーする姿も大好きだ。彼(アルカラス)は全仏で多くのタイトルを獲得すると思う。ズベレフもクレーでは常に素晴らしいパフォーマンスを見せてきた選手だが、(シナーを含め)4人の話題の中では過小評価されている」

もはや誰にも止められない勢いを見せているシナーを、全仏の優勝候補に挙げないのは少々難しくも思えてしまうが、一方で同大会は番狂わせも多く前評判通りにいかない傾向が強いのも確かだ。果たして今年のローラン・ギャロスではどんな結果が待っているのだろうか。

文●中村光佑

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