東芝、新棟を「ライブ実験場」に 省エネとセキュリティの実証を開始

東芝は4月12日、研究開発新棟「イノベーション・パレット」の執務エリアにおいて、設備の適切な制御や最適化につなげる「運用デジタルツイン」を活用し、省エネとセキュリティの実証を開始すると発表した。

省エネ実証は、運用デジタルツインを活用して、利用者の快適性と、エネルギー削減を同時に実現する試み。建物内に設置したセンサーやカメラなどの各種設備から、空間、人、エネルギーのフィジカルなデータを集め仮想空間に再現し、AIや最適化エンジンを活用して、サイバー空間においてデジタル試運転を行う。

デジタル試運転では、人の流れを推定し、人が発する熱エネルギーの負荷を考慮した上で、季節の変化や建物の利用状況に応じて、照明、空調、ブラインド制御などのエネルギー削減効果をシミュレーションする。シミュレーションで得られた結果から、ベストな施策を導き出して、実際の設備制御に反映させるという。

センサーやカメラなどの各種設備は、遠隔操作による管理、カスタマイズ、更新が可能で、実証で収集したデータをAIが学習し、サービスの進化へつなげる。また、東芝だけでなく他社の設備も含めて、各機能を柔軟に組み合わせた検証が可能だという。

セキュリティ実証は、多数の映像のAI同時監視と、セキュリティロボットによる広範囲な巡回により、警備の自動化と省人化、安心と安全を両立させる試み。セコムのセキュリティロボット「cocobo」(ココボ)と、セキュリティゲートなどの設備、東芝エレベータのクラウドサービス「ELCLOUD」(エルクラウド)を、ローカル5G通信などによってクラウド上で連携させる。

AIを活用することで多数の映像の同時監視が可能なほか、cocoboや監視カメラが取得した映像は、東芝グループの「SATLYS(サトリス)映像解析AI」や、研究開発中の質問応答AIで分析。不審な行動や未登録者を検知したり、セキュリティゲートを不正に突破した不審者を追跡するなどの対応ができる。

イノベーション・パレットは、東芝グループが技術の最重要拠点として2月に開所した施設。今回の実証では、イノベーション・パレットを「ライブ実験場」として使用し、1000人規模の従業員が働く執務エリアで、さまざまな設備を普段通り使用しながら、並行して先進技術の実証ができる環境を構築したという。今後も構築した環境を活用したさまざまな実証を行う予定で、カーボンニュートラルや、複雑化する社会課題の解決に向けて、多様なソリューション創出に貢献していくという。

プレスリリース

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