「決して撮り鉄を排除しようとかそういうつもりではなく…」度重なる「撮り鉄」の問題行動…撮影マナー向上へ

鉄道写真愛好家・いわゆる「撮り鉄」の線路侵入など、度重なる問題行動を受け鳥取県などは「撮り鉄」の撮影マナー向上に関する協議会を12日、開催しました。
一方、鉄道の魅力は鳥取県の観光資源の1つ、「鳥鐡の地・とっとり」は県全体で「撮り鉄」との共存共栄を目指します。

記者 土江諒
「撮り鉄関係者用駐車場と書かれた看板があるここは、鳥取県日野町の撮り鉄にとって絶好の撮影スポットなんだそうです」

鳥取県西部を走るJR伯備線沿線の3つの町は「撮り鉄」の聖地として知られていて、撮影スポットが合わせて20か所ほどあり、特急やくもが新型車両への移行しつつある今、全国でも注目が集まり、連日多くの人が訪れています。

しかし、沿線では、一部の撮り鉄によるマナー違反が相次いでいます。

ホームに停車中の特急やくもの車両に足をかけ、試運転という文字を指さす男性。反対の手にはカメラを持っています。

別の写真には車両の連結部分に乗り、ポーズを決める男性の姿が写っています。
3月、鳥取県江府町にある江尾駅構内で撮影された写真です。

さらに、6日もやくもの新型車両デビューの日には、線路へ人が立ち入ったとの通報があり、やくもに遅れが出るなどの影響も出ました。

土江諒 記者
「人が立ち入ったとされるのは、鳥取県江府町内を走るこちらの線路です。遮るものがなく、写真撮影はしやすそうなんですが、このように立ち入り禁止と書かれたテープが張ってあります」

JRによりますと6日午前10時半過ぎ、根雨駅と武庫駅の間で線路内に人が立ち入ったと付近の住民から警察に通報があり、警察経由でJRに情報提供がありました。住民は「線路内に人が立ち入った。撮り鉄だと思う」と話したということです。

この影響で、岡山駅で出発式を行った出雲市行きのやくも5号が、数分間根雨駅に停車。

該当区間で速度を落として走行したり運転手による安全確認を実施したりしたため、特急やくも上下線1本ずつで、最大20分の遅れが発生しました。

立ち入りがあったとされる付近は、多くの鉄道ファンが訪れる撮影スポットだということです。

線路沿いの会社で働く男性
「うちの従業員が、パトカーが来とるから何なんだろうな?って話してたんですよ。よく撮り鉄さん来るので、またトラブルがあったのかなって思った。近所の人とかお客さんの話だと、通行の邪魔になったりとか、家の木を切られたりとか、トラブルは結構聞きます」

こうした中、鳥取県の平井知事は11日の会見で、「安全な場所でルールに従って撮影すること」など、5つの「鉄則」を定めマナーアップを呼び掛ける運動に取り組む意向を示しました。

これを受け12日開かれた「鉄の道マナーアップ協議会」では特急やくもに限らず、若桜鉄道や智頭急行も含めて、鉄道ファンと地域がトラブルにならない環境を県全体で整えていくことを確認しました。

日野町産業振興課 入澤眞人 課長補佐
「町としては、決して撮り鉄を排除しようとかそういうつもりではなくて、地域の観光ですとか、食を楽しんでいただいたり、お腹も心も満たして帰っていただこうと」

日野町は3月から新たに「撮り鉄」用の駐車場を町内に2か所設けていて、13日にこの駐車場周辺でマナーを守るよう呼び掛けるちらしを配ることにしています。

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