島根・丸山知事「宿泊税、観光目的の宿泊者に課税すべきで正当性に欠ける」 松江市のパブコメに異例の意見提出

丸山達也知事

 松江市が導入を検討している「宿泊税」について、島根県の丸山達也知事が12日、市のパブリックコメント(意見公募)に対して意見を提出した。市の方針に反発し、一定の宿泊料金未満は課税しない「免税点」を設けるよう求めた。観光目的以外の宿泊者が税負担を回避できる余地をつくるべきだと主張した。知事が自治体のパブコメに意見を寄せるのは異例で、市の対応が注目される。

 同日の定例会見で丸山知事は「県民に影響がある。上品ではないかもしれないが、直してくれないから言うしかないということだ」と説明した。

 パブコメに寄せた意見では、目的が観光振興であれば観光目的の宿泊者に課税すべきで、公平性以前に課税の正当性に欠けると主張。宿泊事業者は税収による恩恵を受けるため一定の負担はやむを得ず、事務負担を理由に免税点を設けないのは納得を得られないと強調した。

 松江市の上定昭仁市長は「知事が意見を提出されたことは承知しており、貴重な意見をいただいたものを受け止めている」とのコメントを出し、パブコメや宿泊事業者への説明会などで広く意見を聞く考えを示した。市によると、12日時点で、丸山知事を含めて11件の意見が寄せられている。

 市は、宿泊者が宿泊料金にかかわらず水道などの行政サービスを少なからず受けるとして、課税の公平性の観点や宿泊事業者の事務負担軽減のため簡素な制度とする必要性から免税点を設けない方針。パブコメの結果を踏まえて条例案を策定し、2025年度中の徴収開始を目指している。

 22年の市内の宿泊客数は148万4千人で、200円を徴収した場合の税収は年間3億円。市は観光プロモーションや二次交通の拡充などに充てる一方、少なくとも年間5千万円を松江観光協会の組織強化に充てる考えにしている。

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