故郷バルセロナから米国へ“学業”で進学…4年後に憧れのメッシ擁するマイアミからドラフト指名「体調と睡眠に影響が(笑)」

[写真:Getty Images]

故郷バルセロナからアメリカの大学で学ぼうと海を渡ったスペイン人MFペップ・カサス(23)。彼には予想だにしない展開が異国の地で待っていた。スペイン『Relevo』が伝えている。

ペップ・カサスはバルセロナ出身。少年時代(2009〜12年)は、時代を謳歌するペップ・バルサに憧れを抱くラ・マシアの1人だったが、12歳で退団となり、その後は地元の街クラブで18歳まで在籍。しかしここでもトップ昇格を果たせず、アメリカの大学へ進学することを決断する。

アメリカでは2019〜23年までにインディアナ工科大学、ノースカロライナ大学ウィルミントン校に在籍し、学業の傍ら、両大学サッカーチームの主軸としてもプレーする文武両道の日々。インディアナ工科大学の公式サイトに残るペップ・カサスのプロフィールを覗くと、“好きな選手”の欄には「リオネル・メッシ」と記載されている。

そんなペップ・カサスに、予想だにしない展開が待ち受けていた。

2023年12月19日、メジャーリーグサッカー(MLS)の2024シーズン入団選手を決める2024MLSスーパードラフトが開催され、プロ選手を意識してアメリカへ渡ったわけではないペップ・カサスは、なんとメッシにルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケツ、ジョルティ・アルバまで待つインテル・マイアミに3巡目(全体61位)で指名されてしまったのだ。

これに慌てふためいたペップ・カサス。この度『Relevo』のインタビューに応じ、まず指名を受けた昨年12月〜今年1月ごろを振り返った。

「ドラフトで指名され、マイアミへ行く準備期間は2週間だったよ(笑) まだ大学に通っていたし、トレーニングもあったのに(笑) この2週間の間に体調を崩してしまってね。夜も眠れなくなってしまったんだ」

突然のドラフト指名により、一時期は肉体的にも精神的にも疲弊しきっていたというペップ・カサス。何せインテル・マイアミで待つのは、幼少期からの憧れ、リオネル・メッシだ。

「体調が悪いままマイアミへ行くと、今度はトップチーム初練習で『なんでメッシがいるんだろう…』ってね。メッシはせいぜい2〜3日目の合流だろうと思っていたら、何故か振り返ると僕の隣にいるんだ。想像できますか? ほんのちょっと前まで、僕は大学のキャンパスにいたんだ」

チーム合流初日から緊張感に包まれたペップ・カサスだが、メッシを筆頭とする“バルサ組”も“年下のペップ”に興味津々だったようだ。

「ブスケツとアルバは僕の名前(ペップ)を、僕のラ・マシア時代からなんとなく知ってくれていたようだ。スアレスは最初の顔合わせで、何故かいきなり僕のことを「レオ」と呼んだ(笑) 今度は“本物のレオ(メッシ)”から電話が来て会いに行ったり…。全て感動的だし、素晴らしい思い出だよ」

このように、故郷バルセロナから学業でやって来たアメリカにて、必ずしも意図せずプロサッカーの世界へ入り、しかもそこはメッシら“バルサ組”がいるマイアミだったというペップ・カサス。

自らを「少しネガティブ」と語り、「大学にいた頃からプロの世界へ行くなんて現実的じゃないと思っていた」と言う。実はマイアミとはドラフト指名こそ応じるも、まだこの道に確信を持っておらず、今季限りのセミプロ1年契約しか結んでいないのだ。

そのため、米国3部のBチームを主体に戦うこととなったが、トップチームでの練習は継続。3月下旬にはMLS第5節ニューヨーク・レッドブルズ戦で後半途中からプロデビューを果たし、続くニューヨーク・シティ戦でも途中出場している。

現在はBチームで公式戦に出場中。“またトップで、今度はメッシとも共演したいですか?”とインタビュアーに問われると、もうこれ以上高望みはしないとも話している。

「僕の立ち位置はラスト2分で出られるトップチームじゃなくて、90分間プレーできるこっち(Bチーム)だよ。あれこれ考えても仕方ないしね。残りのシーズンで僕を頼りにしてくれたら素晴らしいことだ」

© 株式会社シーソーゲーム