「学歴詐称」疑惑再燃の小池都知事、報道直前に大学入学式でスピーチした「エジプト留学時代の経験」

(写真・時事通信)

4月10日発売の「文藝春秋」の記事で、元都民ファーストの会事務総長・小島敏郎氏に“爆弾告発”された小池百合子東京都知事。その内容は、「小池知事が2期めの選挙を控えていた2020年6月、小池氏の“学歴詐称工作”に、はからずも手を貸してしまった」というものだった。

11日には、衆院東京15区補選の情勢調査が明らかになり、自らが擁立した乙武洋匡(ひろただ)氏の大苦戦が報じられるなど、小池知事は窮地に陥っている。

注目が集まった12日、午後2時からの都知事定例会見で、小池知事は「文藝春秋」の記事に関して、質疑応答で以下のように話し、何度も経歴詐称疑惑を否定した。

「記事が出たということについては、承知をいたしております。何度も申し上げていることなんですが、そもそもが大前提が違うわけです。卒業していないというふうに言っておられるけれども、卒業し、そして大学がその卒業を認めている、すでに卒業証書と証明書、これはこの場でもお伝えしてきていること」

ただ、「(告発者の)小島氏から、カイロ大学から卒業生名簿を出したほうがいいのではないか、という話はあったのか、覚えていらっしゃいますか」と聞かれた際は、「あまり鮮明に覚えていませんね」と、回答をはぐらかすような場面もあった。

その小池知事は、「学歴詐称」報道が出る直前の4月7日、東京都立大学(東京都八王子市)の入学式に来賓として招かれ、新入生を前に約4分間、祝辞を述べていた。そのなかで「今日は3つのことをお話したいと思います」とし、「第一に、大きな夢を持っていきましょう。そして、それを実行、実現していきましょう」「第二に、失敗を恐れずチャレンジしましょう」「最後、3つめです。広く世界に目を向けてください」などと話した。

そしてその3つめで、留学したエジプトの件に触れる内容があった。小池氏はこう述べた。

「私自身、大学時代に留学をしました。エジプトがその先でありました。そこで異なる文化と出会って、多様性を経験しました。このことはいま、都知事として数々の課題に立ち向かっていくそのうえで、大きな力になっています」

皮肉にもその3日後、かねてから指摘されていた「学歴詐称」問題が、再燃することになってしまった。

12日、自民党は「乙武氏側から推薦要請がないこと、選挙区内の党支部から乙武氏を推薦しないよう求める声があがった」ことから、乙武氏を推薦しないことを発表した。

小池知事の試練は続きそうだ。

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