鹿児島市喜入で特殊病害虫「イモゾウムシ」2例目 サツマイモから複数の幼虫見つかる 県、確認や情報提供呼びかけ

イモゾウムシの成虫(植物防疫所ホームページ)

 鹿児島県は12日、鹿児島市喜入生見町でサツマイモの特殊病害虫「イモゾウムシ」を新たに確認したと発表した。市内では1カ月ぶり2例目。確認地点は前回見つかった地点から200メートルほど離れた民家で、住民が家庭菜園で収穫し保管していたサツマイモに幼虫が寄生していた。県や門司植物防疫所は、保管しているサツマイモの確認や情報提供を呼びかけている。

 同防疫所によると、3月12日の1例目も別の民家の住民が家庭菜園で収穫し、保管していたサツマイモから見つかった。初動対応の一環で4月11日、周辺地域を調査した際、住民から保管サツマイモのサンプル提供を受け、12日に芋を切って中身を調べたところ、幼虫が複数見つかった。

 今回の発見を受け、同防疫所や県、市は新たな確認地点でも半径500メートルで寄主植物を採取し、おびき寄せるわな(トラップ)としてサツマイモを設置する。近隣住民への聞き取りや調査への協力依頼も強化する。

 調査は2週間ごとに最終発見日から原則1年間続ける。防疫所などは12日までにサツマイモやノアサガオなど寄主植物を約2000個採取し、うち1700個近くを一定期間保管後に切開したが、新たな個体は確認されていなかった。トラップのサツマイモも目視では寄生が確認されていない。

 イモゾウムシについては、効率良くおびき寄せられる誘引剤がなく、防除に時間がかかるとされる。県経営技術課の中村育生課長は「自宅などで保管しているサツマイモがあれば一度確認してほしい。見慣れない虫がいたら連絡して」と話した。

■イモゾウムシ 植物防疫法で定められた特殊病害虫の一種で、サツマイモなどのヒルガオ科植物に寄生する。成虫は体長4ミリほど。主に幼虫がサツマイモを食害し、異臭や苦みを引き起こすため、食用や飼料用にも使えなくなる。鹿児島県内は奄美群島に分布し、2019年には十島村宝島で確認され、根絶に至っていない。

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