【日本ハム】不調・レイエスは我慢する価値あり 柏原純一氏は野球に取り組む「姿勢」を評価

まだ日本球界に適応できていないレイエスだが…

【柏原純一「烈眼」】新庄監督率いる日本ハムは12日のオリックス戦(京セラ)に勝ち、再び貯金生活に入った。まだ開幕直後の序盤戦とはいえ、昨季まで2年連続最下位。まずは結果で〝雰囲気〟を作っていくことも欠かせないだけに、この勝率5割ラインは何より意識してもらいたい数字だ。

開幕から11試合とはいえ、まだ1度もこのラインを下回ることなく戦えていることは何より安心した。この日のように投手陣が好投し、打線が少ない好機をものにして2安打で勝ちを拾うあたりは、3年目を迎えた新庄政権の選手たちの成長を感じさせられる部分でもある。

しかしながらこの戦い方で十分かと言えば、さにあらず。長丁場のシーズンで、やはり必要不可欠なのが助っ人の力だ。日本ハムで言えば、その役割を負うのがメジャー通算108発の期待の大砲・レイエスとなる。

確かに開幕以降はここまで打率1割2分5厘、1本塁打2打点と、まだ日本球界に適応できていない。この日を終え、開幕から通算28打席。そろそろ新庄監督も「いつまで我慢するか」を考える機会が増えてきているはずだ。

それでも私の結論から言えば「待つ価値」は十分にあると感じた。試合前の打撃練習では腰の入った下半身主導のスイングで右方向にも力強い打球を飛ばしており、この日にオリックス・東と対峙した2打席でも「打ちたい」という気持ちが先回りし、上半身に頼った力任せのスイングをするようなこともなかった。

さらに言えば、野球そのものへの向き合い方にも好感が持てた。2回に四球で出塁し、次打者の犠打で二塁に進んだ際には1メートル96センチ、120キロの巨漢ながら、しっかりとスライディングして二塁に進塁。その後も一球一球リードオフを怠らず打者のスイングに応じ、スタートを切る姿を見るにつけ「打つことしか興味がない選手」ではないことはすぐに理解できた。日本の野球をなめていない裏返しだろう。

あと欲しいのは、やはり「結果」だ。練習に取り組む姿を見る限りは忠実で周囲の日本人選手にも溶け込み、性格の明るさも伝わってくる。それだけに「1本」出れば大きく変わる可能性は秘めている。

もちろん、その間、他の誰かがカバーできるかどうかの話になるが、100打席ぐらいまでは試行錯誤の時間をあげてもいいだろう。虎の子の1点を守る試合運びは、そう何度も続けることはできない。僅差を耐え抜く目に見えない負担はこの日、完璧な姿を披露した投手陣の疲弊にもやがてつながってくる。シーズンに入れば徐々に増えていっても、減ることはない投手陣への負荷を和らげる意味においても極力早く、助っ人大砲が23年の打線に定着することを願いたい。

(野球評論家)

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