蝶野正洋が曙さん追悼 最も印象に残る巨漢マッチ「あれがやっぱりプロレスだと思うんだ」

曙さん(左)とはタッグチームも組んだ蝶野正洋(2007年)

〝黒いカリスマ〟蝶野正洋(60)が、心不全のため54歳で死去した大相撲の元横綱曙太郎さんを追悼した。

引退後に格闘家、プロレスラーとして活躍した曙さんは、2006年から新日本プロレスにも参戦。蝶野は07年の「G1タッグリーグ(現ワールドタッグリーグ)」でパートナーを務めた。「デカいし、みんなが思ってるより動くし、プロレス頭もあったんだよね。とにかくプロレスがすごい好きだった。本人も『プロレスがずっと好きで、相撲よりやりたかった』って言ってたし、だからあれだけ長くやっていたと思う」と振り返る。

プライベートでの付き合いはなかったが、思い出されるのはプロレスに愛情を注ぎ、真摯に取り組んでいた姿だ。「ちゃんと練習してたし、会場入りもすごく早かったらしい。たぶん試合会場にいる時間は俺より2倍くらい多かったんじゃないか…。俺はギリギリに来てすぐ帰るからさ。だからあれだけの大きな体をキープできたと思うし、あの年齢までリングに上がって、すごいなって感じで見てたんだ」。

最も印象に残っているのは蝶野の25周年記念大会(09年10月、両国)で、曙さんが出場したジャイアント・バーナード、故吉江豊さんとの3WAYボディースラムマッチだという。特別レフェリーにはKONISHIKI(現・小錦八十吉)も登場し、リングが割れんばかりのド迫力マッチとなった。

「あれがやっぱりプロレスだと思うんだ。そういう意味ではプロレス界にもいいものをたくさん残してくれたなって。やっぱり世界の曙じゃない。俺らレスリング業界からすると誇りだよね」と功績をたたえた。

曙さんは17年4月から7年間闘病生活を送っていた。蝶野は「あれだけの体は負担も大きかったと思う。最後まで頑張っていたと思うし、今はゆっくり休んでもらいたいですね」と故人をしのんだ。

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