浜省は世界の救世主に!? ファミコン時代からコラボ多数「ゲーム化された大物アーティスト」たち

PS2ソフト『OVER THE MONOCHROME RAINBOW featuring SHOGO HAMADA』(ソニーミュージック)

4月25日、Nintendo Switchの新作ソフト『ギターライフ レッスン1』(ホリ)がリリースされる。

これは、ギター型コントローラーを使うギター練習用のソフトだ。6本の弦を再現したボタンを押しながらピックを使って音を鳴らすことで、コードを押さえ演奏することが可能になるという。

さて、過去にも音楽とゲームが融合したソフトは多く発売されているが、なかには大物ミュージシャンたちとコラボしたゲーム作品も登場している。誰もが知るミュージシャンたちを題材にしたゲーム作品を見ていこう。

■その歌声は異世界をも救う!? 『OVER THE MONOCHROME RAINBOW featuring SHOGO HAMADA』浜田省吾

浜田省吾さんといえば、“浜省”の愛称で知られる日本を代表するシンガーソングライターだ。これまで手掛けてきた名曲たちはもちろんのこと、山口百恵さんや和田アキ子さんをはじめとした数々のミュージシャンに楽曲提供をするなど、音楽界に与えた影響は絶大である。

そんな浜田さんをフィーチャーし作られたのが、2003年にソニー・ミュージックエンタテインメントより発売されたPS2用ソフト『OVER THE MONOCHROME RAINBOW featuring SHOGO HAMADA』なる一作だ。

本作では主人公とともに異世界へと召喚された浜田さんが、世界を救うためにライブ演奏をおこなう……という、なんとも型破りなストーリーが展開されていく。

“異世界ファンタジー”と“浜省”をミックスさせた意欲作だが、ジャンルとしては「アドベンチャー」に近く、情報や機材を集め、随所でライブをおこなっていくことがおもな流れとなっている。

内容だけ聞くとどこかシュールにも思える作品だが、実は本作、浜田さんのツアー・メンバーである福田裕彦さんが脚本・音楽・総監督を担当していたり、アニメーション部分では、浜田さん自身が声優として台詞を担当していたりと、なかなか力が入った作りとなっているのだ。

また、作中に登場した楽曲を好きな構成で演奏することができる「フリーモード」や、周囲を取り囲むように演奏をするアーティストたちを好きに鑑賞・撮影ができる「360度ライブ」など、当時としては挑戦的な試みも取り入れられている。

今でこそプレイヤーが歌手を“プロデュース”する作品は珍しくないが、当時のファンも異世界で浜田さんをプロデュースすることになるとは、予想できなかっただろう。

■ゲームの難易度もまさに“地獄級”!? 『聖飢魔II 悪魔の逆襲!』聖飢魔II

地球を征服するため、地獄からやってきた……という強烈なキャラクター性でファンを魅了し続けているのが、ヘヴィメタルバンド『聖飢魔II』の面々だ。白い顔やマントを羽織ったコスチュームなど、一度見たら忘れることができないその姿や立ち振る舞いは絶大なインパクトを誇る。

そんな彼らをテーマにした作品が1986年、ファミコン全盛期に登場しているのをご存じだろうか。それが、CBS・ソニー(現:ソニーミュージックエンタテインメント)より発売された『聖飢魔II 悪魔の逆襲!』だ。

本作はメンバーの一人・デーモン小暮さん(現・デーモン閣下)を主人公に、ゼウスによって奪われた教典と仲間を救うため数々のステージを攻略していくアクション作品となっている。

ジャンプや武器を駆使し攻撃しながら進んでいくという点では、ごく一般的なアクションゲームなのだが、本作は「LIFE」と「制限時間」が併用されている独特なシステムを採用。そのため、敵に触れてダメージを受けたり、攻略に手間取って時間切れになったりするとゲームオーバーとなってしまうのだ。

この時間制限システムや、少し癖の強い操作性も相まって、ゲーム自体の難易度はなかなか高めに設定されている。

アーティストとコラボ作品でありながら、その予想外の難易度でプレイヤーを苦しめたあまりにも意外なファミコン作品である。

■過去と未来を繋ぐ壮大なSFストーリー…『TM NETWORK LIVE IN POWERBOWL』TM NETWORK

前述した『聖飢魔II』のほか、ファミコンには意外にも有名アーティストのコラボ作品が多い。

そのなかのひとつ、意表をついたコラボ内容で当時のファンを驚かせることとなったのが、1989年にCBSソニーから発売された『TM NETWORK LIVE IN POWERBOWL』だ。タイトルの通り、有名バンド『TM NETWORK』をフューチャーした一作となっている。

本作は主人公が10年前の世界にタイムスリップし、『TM NETWORK』のメンバーと協力しながら、やがてきたる地球滅亡を回避するべく奔走していくアドベンチャー作品だ。

いくつかの選択肢のなかから正解を導き出していく点は従来のアドベンチャーゲームと同じだが、ゲームクリアのためには本作独自のコマンド「MUE」を使いこなす必要がある。

これはいわゆる“ハッキングツール”で、これを利用して電話を掛けたり、電子ロックを解除したりとハッカーのような技術を用いながらストーリーを進めていくのだ。

『TM NETWORK』の面々は、探索パートの節目やクライマックスのライブシーンなどで登場。作中のBGMにも『COME ON EVERYBODY』や『Self Control』といった楽曲のアレンジ版が使われており、ファンならば思わずニヤリとしてしまうことだろう。

概要だけ聞くとどこか色物な一作にも思えるが、一方で「予期せぬコンピュータの暴走」や「核による人類滅亡」など、どこか現実味を帯びた問題をしっかりとストーリーに組み込んでおり、SF作品としてなかなか骨太なシナリオ構成となっている。

地球滅亡を回避し、数々のどんでん返しを乗り越えた先に用意されたイベントは、『TM NETWORK』ファンにとっては必見のシーンだ。

今回紹介した以外にも、布袋寅泰さん、所ジョージさん、『THE YELLOW MONKEY』、海外に目を向ければ、『エアロスミス』にマイケル・ジャクソンさんなど、多くのアーティストがゲームの世界に登場している。昨今ではゲームに有名アーティストの楽曲が使用されることも珍しくはなくなったが、一方で、ファミコン時代からアーティスト自身とコラボした作品が数多く登場していることに驚かされてしまう。

ファンタジーにアクションにSF……コラボする内容やジャンルが多種多様であることも、実に興味深い点だ。

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