白洲迅「僕のチェンジは“吉田鋼太郎”さん。とどめを刺されました」『刑事7人』への思い

白洲迅 撮影/冨田望

第22回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストをきっかけに、2011年に、舞台『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』でデビューした白洲迅。’13年にはテレビドラマ『押忍!!ふんどし部!』(テレビ神奈川ほか)で初主演を飾るなど、その後も、映像、舞台を問わずに活躍し、近年では『刑事7人』(テレビ朝日系)の野々村拓海役でも知られる。デビュー以来、進化し続ける白洲さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全4回】

「僕のチェンジは鋼太郎さん」の真意

「僕のチェンジは“吉田鋼太郎”さんです」

俳優としてのチェンジを白洲さんに尋ねると、予想外の答えが返ってきた。「吉田鋼太郎さんとの出会い」ではなく、チェンジが“吉田鋼太郎”さん? どういう意味なのだろうか。

「僕のチェンジを問われたら、パッと浮かぶのは吉田鋼太郎さんです。鋼太郎さんの存在はすごく大きいです。圧倒的な芝居力というか、熱量みたいなものをまざまざと見せつけられたのが鋼太郎さんでした」

――最初の共演は舞台『シラノ・ド・ベルジュラック』(2018)ですね。

「当時の僕は23歳か24歳でした。ドラマ『刑事7人』(テレビ朝日系)に出演する直前です。まだ若くてあまり物事も分かっていませんでしたが、そんな自分でもすごい衝撃を受けました。さらに幸運だったのが、その後、シリーズだった『刑事7人』で毎年、鋼太郎さんのお芝居を見られるチャンスがあったことです。

鋼太郎さんって、舞台でも映像でもあまり変わらないんです。成立させる力がすごい。“役者の力って、ここまでいけるんだ。すごすぎる!”と思わされました。鋼太郎さんとの出会いというより、“鋼太郎さんが僕のチェンジ”と言いたいくらいの存在なんです」

――『ハムレット』では、その吉田さんから直々に演出を受けています。

「トドメを刺されています。『刑事7人』でも長くお世話になってきましたが、なかなか今まで、芝居に対しての細かいことは聞けませんでした。今回、“鋼太郎さんは、演出家としてこういうことを考えているんだ”と稽古を重ねていくと、どんどん紐(ひも)解かれていき、芝居をする上で、作品に対してこれだけのことを考えているんだと知らされました。

改めて、”吉田鋼太郎さん”という俳優のエネルギーに驚かされています。それに物理的にも、声もおなかも、全身を使ってあれだけの表現をするには、やっぱり相応の熱量がいるんだと、日々見せつけられています」

役とともに歳を重ね、成長できた感覚がある

吉田さんと共演を経験した『刑事7人』の野々村拓海役として白洲さんを見ていた方も多いだろう。同作はテレビ朝日系「水曜21時」枠にて’15年から放送されてきた、東山紀之さん主演の刑事ドラマシリーズ。白洲さんはシーズン4から登場、吉田鋼太郎さんはシーズン1から出演している。同じキャラクターを何年も積み重ねていく作業は、役者としてどうプラスになったのだろうか。

「まずは純粋に役を深めることができました。そしてシリーズものとして長い期間をかけてやれることの良さとして、役を超えて、自分自身も拓海も毎年一年ずつ歳を重ねていく感覚がありました。毎年夏クールに放送していたので、その年の夏の出来事が描かれていましたが、拓海という人物は、秋冬春と生きています」

――そうですね。

「部署が変わったり役職が変わっていたりといった変化を含め、拓海も成長しているでしょうし、自分も役と一緒に成長していけた感覚があります。しかもそれを作品として残すことができた。俳優人生において、とてもありがたい経験だったなと思います」

白洲迅 撮影/冨田望

ーー年を重ねていく変化を、拓海だけでなく白洲さん自身も感じていたということでしょうか。

「自分が成長したからこそ、拓海も成長した描写を書いてもらえているのかなと感じる部分もありました。年齢もあるでしょうし、長くやっているからこそ、周りのみなさんとの関係も深まっている。そういった僕らのリアルな関係性まで、物語に反映していただける場だったのかなと感じています」

シリーズものにはシリーズものならではの醍醐味(だいごみ)がある、と教えてくれた白洲さん。自分の役だけでなく、作品や、周囲との関係を大切にしていることが伝わってくる。

白洲迅(しらす・じん)
1992年11月1日生まれ、東京都出身。’11年、舞台『ミュージカル テニスの王子様』の鳳長太郎役でデビュー。’13年には『押忍!!ふんどし部!』(テレビ神奈川ほか)にてドラマ初主演。ドラマ、映画、舞台と活躍している。主な出演作にドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)、『刑事7人』(テレビ朝日系)シリーズ、『僕はまだ君を愛さないことができる』(フジテレビ)、『リコカツ』(TBS系)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)、『君が心をくれたから』(フジテレビ系)、映画『HiGH&LOW THE WORST』(2019年)『向田理髪店』(2022)など。’24年5月公演の吉田鋼太郎演出、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1『ハムレット』でホレーシオを演じる。

ヘアメイク :松田陵(Y’s C)
スタイリスト:持田洋輔
ジャケット¥187,000・Tシャツ¥17,600・パンツ¥52,800/コーチ/コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(0121-556-936)靴¥35,200/アルフレッド・バニスター/アルフレッド・バニスター ルミネエスト新宿店(03-6380-0310)

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