《競馬コラム・ターフに魅せられて》春のシーズン真っ盛り 「上毛かるた馬」にも注目!

星野さんが所有するツルマウカタチ。その名にちなみ、競馬界を羽ばたけるか=2023年9月、中山競馬場

 今年も競馬の盛り上がる季節がやってきた。中央競馬は春と秋が特にファンの関心が高まるシーズン。近年は有名タレントが出演するテレビCMやゲームアプリ、アイドルホースの誕生によって、女性を中心に若い世代のファンが目立つ。ギャンブルにとどまらない競馬の魅力、楽しみ方を紹介する。

例えるなら甲子園

 薄紅色に彩られた桜が若駒たちを優しく見守っていた。4月7日にJRA(日本中央競馬会)の阪神競馬場で行われた3歳牝馬クラシック、桜花賞(G1)。レース当日に満開となったのは初めてという中、18頭がターフを駆け抜けた。

 春は3歳の若駒が走る「クラシック競走」を中心に進む。クラシックは桜花賞、皐月賞、オークス(優駿牝馬・ゆうしゅんひんば)、日本ダービー(東京優駿)、菊花賞の五つを指し、14日には牡馬クラシックの初戦、皐月賞が中山競馬場で行われる。出走できるのはそれぞれ生涯一度だけで、野球で例えるなら高校生にとっての甲子園と言ったところか。

 史上最強と言われるディープインパクトや史上最多のG1勝利数を誇るアーモンドアイをはじめ、クラシックは名馬の登竜門。賞金や注目度が高く、馬主や騎手、調教師ら競馬に関わる人たちは全て、クラシックの勝利を目指しているといっても過言ではないのだ。

吹け!上州旋風

 群馬県関係も話題に事欠かない。桜花賞を2013年に制したのが、高崎市の星野寿市さんが所有するアユサン。調教を手がけたのは、富岡市出身の矢嶋大樹さん(現在は調教師)とあって、上州旋風が関西で巻き起こった。

 その星野さんは、上毛かるたの読み札から馬名を付けていることで知られる。これまでに名付けたのはライトカラカゼ、ヘイワノツカイ、ココロノトウダイ、エンギダルマ、テンカノギジンなど7頭。中でも、アサマノイタズラは賞金の高い重賞レースを勝利するなど活躍し、21年には本県ファンの期待を背に、クラシックに出走した。

 23年秋にはツルマウカタチがデビューした。その父も母もかつて星野さんが所有していた馬で、まさに馬主生活の結晶。ネット上には、「とうとう来たか」というコアなファンの書き込みもあった。星野さんの所有馬では、ツルマウカタチとショーマンフリートの牡馬2頭が今年3歳を迎えたが、皐月賞出走はかなわなかった。ショーマンフリートは関係者の評判も高い馬で、13日の中山9レース、山藤賞に出走する。2頭とも元気に飛躍してほしい。

 競馬では、多くの夢、思いが走る。人馬の無事を一番に願いつつ、迫力あるレースを楽しみたい。

皐月賞が行われる中山競馬場。GⅠ開催日にはひときわ盛り上がる

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