和央ようか「良い意味で謙虚すぎなくてもいいのかな、と」世界的作曲家ワイルドホーン氏との結婚で気づいたこと

和央ようか 撮影/三浦龍司

宝塚歌劇団・宙組の元トップスター、和央ようかさん。トップ在任期間は6年を超え、平成以降の最長記録だ。現在は夫で世界的作曲家のフランク・ワイルドホーンさんとハワイで暮らし、日本と行き来しながら活動の場を広げ続けている。芸能生活35周年を迎えた彼女の素顔と人生の転機、「THE CHANGE」とは。【第1回/全5回】

結婚を機に海外と日本を行き来する生活へ

インタビューを実施した都内某所。和央ようかさんの背筋は天井へと真っすぐ伸び、凛(りん)とした佇まいは、さすが宝塚の元トップスター。男役として一世を風靡(ふうび)した色気がいまも漂い、取材陣一同、思わず見とれてしまう。

「いつもシャキッとしていると思われがちですが、普段の私はそうでもないんですよ。あまり動かず、ゆったりしていますね。ファンの方や見てくださる方がいらっしゃるから、頑張れているだけなんです」

口を開くとクールな印象とはまた違う、どこかほんわかとした一面を見せる和央さん。「THE CHANGE」したときを尋ねると、少し間をおき、「やっぱり結婚したことは大きいですね」と答えた。

和央さんは、作曲家のフランク・ワイルドホーンさんと’15年に結婚。ワイルドホーンさんは鹿賀丈史さんや石丸幹二さん、柿澤勇人さんが主演したミュージカル『ジキル&ハイド』や、宝塚歌劇などでもたびたび上演されているブロードウェイ・ミュージカル、『スカーレット・ピンパーネル』などを手掛けた。

和央さんは現在、米国と日本を行き来する生活を送っている。

「結婚する少し前から海外に住み始めたのですが、視野が広がりました。結婚してすぐはニューヨークに住んでいて、現在はハワイにいます。日本を離れたことで、日本の良さをもっと感じるようになりました」

海外生活で手に入れた新しい価値観

ニューヨークの家には扇子や漆の折り箱を置くなど、インテリアにも和を多く取り入れていたのだそう。日本への愛が深まった一方で、海外で生活するようになり、日本にいたときとはまた違う価値観を手に入れることができたという。

「なんというか、良い意味で“謙虚すぎなくていいのかな”と思うようになりました。海外の人って、家族とか身内の人のこともよく褒めるんです。日本だと、本音じゃなくても謙遜で悪く言うこともありますよね。

私も悪くまでは言わなくても、いいことを積極的に言うタイプではありませんでした。でも、私の夫もそうなのですが、海外では自分のパートナーを他人にたくさん自慢するのを目にします。“私はなんてラッキーなんだ”、“最高のパートナーだ”って。

褒められた側も“そんなそんな”とかじゃなくて“ありがとう”と清々しくて。これってステキなことだなと感じていて、私も夫や周りの人のことをたくさん褒めるし、“幸せです!”ってたくさん口にするようになりました」

和央ようか 撮影/三浦龍司

宝塚時代は生活の全てを舞台に注いでいたという和央さんだが、現在は「前向きで、褒め上手」という夫のフランク・ワイルドホーンさんとの時間が、生活の主軸なのだという。舞台にモデルの仕事にと多忙な生活ではあるが、その「バランス」を探り続けている。

「フランクは、何かをダメだって言うことがないんです。だからこそ、自分でバランスを考えていかないと、極端に芸能活動に偏ってしまう。アメリカでの生活と芸能活動とのバランスを探りながら、彼にも考えをシェアして、やっていこうというのを常日頃意識しています」

女優やモデルとして活躍する和央さんと、世界的な作曲家として多忙な日々を送るワイルドホーンさん。華やかな世界に生きるふたりだが、“思いやり”というとてもシンプルなことこそが重要なのだろう。

和央ようか(わお・ようか)
大阪府出身。74期生として宝塚歌劇団に入団し、雪組に配属。1998年宙組創設メンバーとして組替えすると、’00年にはトップスターに就任。’06年『NEVER SAY GOODBYE- ある愛の軌跡-』で退団後は、舞台だけでなくモデルとしても活動する。’15年に作曲家のフランク・ワイルドホーン氏と結婚し、現在は米国と日本を行き来する生活。そのライフスタイルも注目を集める。

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