「過去にはあり得なかった光景」 『Mステ』で実現したTOBE&STARTO社の共演に感じたこと【記者コラム】

テレビ朝日【写真:ENCOUNT編集部】

『ミュージックステーション2時間SP』で実現

TOBEのNumber_i(平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太)が、12日放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション2時間SP』(金曜午後8時)に出演した。元King & Princeの3人は、Number_iとしては『Mステ』初出演。旧ジャニーズ事務所時代の先輩であるSTARTO ENTERTAINMENTの20th Century(略称トニセン)、WEST.との共演が実現。笑顔で掛け合う場面もあり、ネット上では「いい時代になった」「ずっと見ていたい」などの声が広がった。文字通り、「時代の変化」を象徴する2時間だった。(文=柳田通斉)

平野の隣に20th Centuryの井ノ原快彦が座った。番組の後半、2人は交流エピソードを明かした。

井ノ原「平野くんと4、5年前に家で遊んだことあるんですよ」

平野「(井ノ原の自宅に)遊びに行かせていただきまして、お食事も出していただいて、おいしくいただきました」

井ノ原「お好み焼き食べたんだよな。遊んで夕方に送っていくっていうすごい健全な」

WEST.のメンバーもNumber_iと絡み、桐山照史が平野にツッコミを入れる一幕もあった。Number_iが『FUJI』『GOAT』を披露した後には、メンバーたちが右手を上げ、3人のパフォーマンスを賞賛した。

昨年3月、ジャニーズ事務所副社長だった滝沢秀明氏がTOBEを設立。同7月には、2か月前にジャニーズ事務所を退所した平野と神宮寺が合流した。この時点で既に同事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害問題が明るみになっていたが、ジャニーズ事務所とTOBEのタレント同士がテレビで共演する現実味は全くなかった。

そして、9月7日、10月2日と2度に渡ってジャニーズ事務所による「謝罪会見」があり、2度目の会見で東山紀之社長は「退所したメンバーを応援していきたい。圧力はかけないし、共演の機会もあればして化学反応を見せたい」と話していた。

それがようやく実現し、タレントたちは事務所の壁を越えて掛け合った。ジャニー氏、事務所の実権を握っていた姉のメリー喜多川氏が存命だった時にはあり得なかった光景で、「時代の変化」を象徴する場面だった。

テレビ局側にとっても、「忖度」をなくした証しになった。各局は昨秋、「ジャニーズ問題検証番組」を放送し、その中で「音楽番組でジャニーズと競合となる男性グループはキャスティングしないようにした」という主旨の証言を紹介した局もあった。だが、そんな時代も終えんを迎えたようだ。

ジャニーズ事務所の会見に出席した井ノ原は、組織の立て直しに尽力して現在は、今月10日に本格始動のSTARTO ENTERTAINMENTでCMO(最高マーケティング責任者)を務めている。その当人が平野らと和やかな雰囲気を醸し、視聴者に伝えた意義も大きい。

共通の目標「世界進出」に向け、切磋琢磨と協力を

STARTO ENTERTAINMENTとTOBEは今後、ライバル関係になっていくことだろう。だが、両事務所のトップが掲げている目標は「世界進出」だ。BE:FIRSTらをマネジメントするBMSG代表取締役CEOのSKY-HIは昨年5月21日に配信したENCOUNTのインタビュー記事でこう話している。

「競争がないと成長もないし、シーンがないとカルチャーも生まれない。カルチャーがないと浸透しないと本気で思っています。日本の何かしらのカルチャーがアジアのポップスとして世界で存在感を示す。その視座であればすごく(世界進出への)可能性を感じます」

つまり、日本のボーイズグループが1つのカルチャーになり、束になって世界を目指していく考え方だ。STARTO ENTERTAINMENTとTOBEはその機運を高められる組織。今後も両事務所、タレントたちの切磋琢磨と協力に期待したい。ENCOUNT編集部

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