「高森にわか」100年超、一冊に 町教委が上演過程や題材の変遷を紹介 「町の文化感じて」

高森町教育委員会が作った「高森のにわか」の報告書をPRする職員=4日、町役場
風鎮祭の移動舞台で上演された「高森のにわか」=2022年8月、高森町

 高森町教育委員会が、町に伝わる寸劇「高森のにわか」について、歴史や上演過程などを報告書にまとめた。100年以上の歴史があるとされるが、演目などの内容は毎年更新されており、記録が残っていなかった。町教委は「にわかが町になくてはならない文化だと改めて感じてほしい」としている。

 にわかは、町中心部で8月に開かれる「風鎮祭[ふうちんさい]」で上演。中心部5地区の若者らがそれぞれ組織する「向上会」が演者を務める。2019年に国選択無形民俗文化財に選ばれたことを受け、町教委が調査委員会を設置。専門家ら9人が編さんに当たってきた。

 2部構成で190㌻。1部は22年の祭り準備からにわかの稽古、当日の発表まで委員が密着。上演中の舞台前を別の向上会員が横切る際は法被を脱ぐ、といったルールなども詳述した。祭りの重要な要素とされる高森阿蘇神社での神事や、日用品で制作する「造り物」も解説した。

 2部は高森のにわかの特徴や変遷を詳報。22年の題材に「コロナ」「ユーチューバー」が選ばれるなど、流行や世相を重視していると指摘。県内外に残る「にわか」も紹介した。

 700部作り、県内各教委や町内公共施設、都道府県など293カ所に配る。町教委は「にわかの歴史が理解できる内容になった。後継者育成などに役立ててほしい」。ホームページに掲載する。(中島忠道)

© 株式会社熊本日日新聞社