国を動かした英国ドラマ『ミスター・ベイツvsポストオフィス』、シーズン2の可能性は?

2000年代に実際に起きた英国史上最大規模の冤罪事件を取り上げ、今年元旦より英ITVで放送されるや否や大反響を呼び、同国内で法改定の動きも巻き起こすなど社会現象になったドラマ『ミスター・ベイツvsポストオフィス(原題:Mr Bates vs the Post Office)』。6月の日本上陸も決定した同作のシーズン2の可能性について、英Radio Timesが伝えている。

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「ドラマの役割は終わった」

本作が取り上げた冤罪事件では、700人以上の郵便局長らが、無実にもかかわらず、ITシステムの欠陥を要因とする問題により窃盗や詐欺といった罪に問われ、家も財産も名声も失い、投獄されたり自殺したりする者まで発生する事態となった。

視聴者数などで好成績を収めただけでなく、実際のスキャンダルについての話し合いを活性化させることにも成功した同作の製作陣は、シーズン2といった何かしらの形で物語の続きを描くことを考えているのだろうか? 製作総指揮のパトリック・スペンス(『リトビネンコ暗殺』)は「そんなことは考えていない」と可能性を否定。一方で、ドキュメンタリーであればあり得ることを示唆した。

「ドラマの役割はこれで終わったと思う」と、スペンスは理由を説明。「この物語をもう一度描くために戻ることには興味がない。なぜなら、いまやバトンをつなぐかどうかはほかの人たち次第だと思うから。でも、この出来事が起きてからのこれまですべてを取り上げたドキュメンタリーができたら素晴らしいものになるだろう」

人々が立ち上がるきっかけになるドラマを作れたことを誇りに思うスペンスだが、変化を起こしたのは作品ではなく、それを見て行動した国民一人ひとりの功績だという考えを示した。さらに「続きを描くドラマは必要ない。ドキュメンタリーならあると思う。でもこの物語を終わらせるかどうかは、今は政府、郵便局、そして(問題の原因となった会計システムを開発した)富士通次第だ」と続けている。

続編の方針はないことが明らかになったが、ITVはこの流れを継続させたいと考えているようで、新たに薬害エイズ事件をテーマにしたシリーズの製作を決定している。脚本を担当するのは、『ナイト・オブ・キリング 失われた記憶』の元になった『Criminal Justice(原題)』などを手掛けたことで知られ、『ミスター・ベイツvsポストオフィス』の企画初期段階にも参加していたピーター・モファット。国民の声を代弁する新たなシリーズにも期待したい。(海外ドラマNAVI)

参考元:英Radio Times①、英Radio Times②

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