悠仁さまは昆虫学を究めたいと望むも…「自然誌を学ぶ大学」が玉川大学ではなく東大が濃厚なワケ(田中幾太郎)

玉川大農学部の昆虫を研究する施設を視察される秋篠宮さまと悠仁さま(代表撮影)

【秋篠宮家の学校選び】#10

「宮内庁が迷走しているように映る」と悠仁さまに関するメディア戦略に苦言を呈するのは同庁OB。先月末、秋篠宮家の側近トップの吉田尚正皇嗣職大夫は会見で「悠仁さまは昆虫や動植物の生態など自然誌を学べる大学を目指している」と話した。

「悠仁さまがそうした分野に進もうとしているのはすでにわかりきっている。この4月に筑波大付属高校3年になり、もっと深い情報が求められている時期にあまりに中身がなさすぎる。吉田さんは秋篠宮家と十分な意思疎通がとれていない」

6日、悠仁さまは父・秋篠宮さまに連れられ、玉川大農学部を訪問。アワビの養殖施設や昆虫科学実験室などを視察した。その模様をテレビや新聞各紙も取り上げたが、扱いは小さかった。

「悠仁さまは農学部の教授と非常に高度なやりとりをするなど、トンボをはじめ昆虫学に精通している事実が世間に示せたのは良かった。しかし、こちらが本当に知りたい事柄はいつものようにスルーだった」と話すのは皇室記者だ。“開かれた皇室”を印象づける絶好の機会ながら、宮内庁の意図は空回りしている。当然ながら、多くのメディアが知りたいのは悠仁さまが目指す大学の具体的な名前である。

「今回訪れたことで玉川大も候補のひとつになったとの声も出ている」(同)そうだが、現実にはその可能性は薄い。

「悠仁さまは通常の受験生とは違うが、それまで目指してきた大学のランクを大幅に落とすとは考えにくい」と指摘するのは大手予備校の進路指導担当。

■進学校・筑付高のプライドが許さない

「面倒見の良さで知られる玉川大だが、どの学部も東大を第1志望とする受験生が併願するようなところではない。進学校の筑付高の生徒としてのプライドが許さないでしょう」

結局、かねて伝えられるように、東大農学部を推薦入試(学校推薦型選抜)で目指すのが最有力。ただ、ここまでハードルを上げる必要があったのかという声は根強い。

「東大で研究者の道を歩むにしても別の方法があったのではないか」と話すのは学習院大の元教授だ。例に挙げるのは上皇の弟で皇位継承3位の常陸宮さまのケースだ。

学習院大理学部を卒業した常陸宮さまは昭和天皇の許しを得て東大大学院の研究生に。学園紛争が激化すると東大を離れ、がん研究会に移り研究を続けた。専門の動物学の観点からがん発生のメカニズムの解明に尽力。2016年には長年の功績が評価され、がん対策パリ憲章大賞を授与された。

「悠仁さまが昆虫学を究めたいのであれば、学習院から他大学の大学院というルートもある。なにがなんでも東大でなければならない理由はない気がする」(学習院大元教授)

宮内庁としても悠仁さまのために最良の方策をとりたいのはやまやま。前出の宮内庁OBは「悠仁さまはもとより秋篠宮家の真意が庁内の誰にも伝わっていないのが問題」だという。

同庁の人間にとって、もどかしい時間だけが過ぎている。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

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