ボールの位置&軌道の向きで曲がり方を変える方法とは?【ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑/奥嶋誠昭】

打球を意図的に曲げるときの理論②

最下点の手前にボールを置き、フェースを目標に向けるとドロー

ボールの位置で曲がり方を変える

Dプレーン理論を頭に入れたところで、「じゃあ、ドローやフェードの打ち分けはどうすればいいのか」という話を続けます。話を簡単にするため、自分の基準的なスイングが、以下のようになっているものと仮定しておきます。インサイド・インの理想的な向きのスイングプレーンで、軌道の最下点は左足カカトの正面(スクエアなスタンス向きで構えているとして)、そして、軌道の最下点でフェースがスクエアになるように構えている、というものです。

この場合、軌道の最下点でインパクトするようにボールを置いて誤差なく振れば、理論上は目標に向かって真っすぐに打ち出され、ストレートに飛びます。 しかし、ボールを少し右に置いていたとすると、同じ構え方、同じ振り方をすれば、クラブパスは右向きになります。そしてさらに、右に置いたボールに対してフェースをスクエアにして構え、その向きに戻してきたとすると、クラブパスは右向きで、フェースの向きは目標へ真っすぐ。そうするとDプレーンは左に傾きますから、ボールは左に曲がる、ということになります。

この逆。つまり、ボールを少し左に置いておくと、同じ構え方、同じ振り方をすると、クラブパスは左向きになります。左に置いたボールに対してフェースをスクエアにし、その向きに戻して打てば、クラブパスに対してフェースの向きが右を向くため、Dプレーンは右に傾き、ボールは右に曲がる、ということになります。

ボールを右に置くとクラブパスは右向きになる。フェースを目標に向けておけば、クラブパスに対して左向きなので、フック回転がかかる。

軌道の向きで球の曲がりを変える

別の方法として、軌道の向きを変える方法があります。アドレスで、上半身の右への傾きを強めれば、スイングプレーンはインサイド・アウトになります。クラブパスが目標より右向きになっている時間が長いため、ドローが打ちやすくなります。逆に上半身を右に傾けると、スイングプレーンはアウトサイド・インになります。クラブパスが目標より左向きになっている時間が長くなるので、フェードが打ちやすくなります。

上半身の傾きを左に傾けると、スイングプレーンはアウトサイド・インになり、クラブパスとしては左向きになる時間が長くなる。右に傾ければ逆になる。

出典:『ゴルフ当たる!飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』著/奥嶋誠昭

【レッスンプロ情報】
●奥嶋誠昭
1980年生まれ。ツアープロコーチ。アマチュアゴルファーからツアープロまで最先端機器を使ったバイオメカニクス(動作のコツを解析する)をもとに、ゴルファーの要望に合ったスイングづくりに定評がある。JGTOツアープレーヤー。2020―2021年国内女子ツアー賞金王、東京五輪銀メダリストの稲見萌寧など、数多くのトッププロ選手の指導実績を持つ。

【書誌情報】
『ゴルフ 当たる! 飛ばせる!スウィング解剖図鑑 イラストでわかる身体とクラブの正確な使い方』
著者:奥嶋誠昭

スウィングづくりやスウィングレッスンをテーマとする多くのゴルフ書は、写真、動画などの映像を使ってスウィング時の身体の動きを解説する。 その見せ方では、手や足、身体の動きや動かし方は表現できても、例えば「インパクトを感じる手の感覚」「インパクト時の足の感覚」といった、スウィング時の身体が感じる感覚までは伝えづらい。そこで本書では、スウィングで体感する手や足の感覚をイラストでできる限り具体化し、読者にその感覚をつかんでもらい、スウィングづくりの向上を目指す。著者は、スウィングの解析システムを駆使し、プロ、アマ問わず多くのゴルファーのスウィングを分析している奥嶋誠昭プロ。同プロ独自のスウィング動作をイラストを通して解剖、図解化し、ゴルフスウィングの上達に役立てる。

© 株式会社日本文芸社