新NISA「積み立て投資はできるだけ長く続けましょう」…この“長く”って具体的にどれぐらい?【投資アドバイザーが検証】

(※写真はイメージです/PIXTA)

積み立て投資は「長期」で続けるのが大切とよくいわれますが、具体的には最低何年続ければいいのでしょうか。本記事では『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)から、著者の〈投資塾ゆう氏〉が、継続期間10年、15年の場合それぞれの利益率を比較して、積み立て投資のベストな継続期間について詳しく解説します。

どれぐらい継続して積み立てるべきか「S&P500」で調査

一般的に、積み立て投資は長期で続けるのが大切といわれます。しかし、この「長期」というキーワードがあいまいで、いったい何年やればいいのかがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、過去のS&P500のデータを使って、10年継続した場合と、15年継続した場合の投資成果を調べてみました。まずは1994年を起点に、94年から10年、95年から10年、96年から10年と直近までを21パターンの10年間を切り取って調べてみました。

[図表1]積み立て投資を10年継続した場合の成果(為替変動込み)

利益が出ている場合を勝ち、損失が出ている場合を負けとみなすと、17勝4敗、勝率は81%です。平均の利益率は70%という結果になりました。

最も利益が出たのは2012年~21年の期間で、利益率は168%。10年間で3倍近く資金を増やせた計算です。ゴールとなった21年はS&P500が過去最高値に到達した年でした。

これに対し、最も成績が悪かったのが、1999年~2008年の期間です。ゴールである08年は、100年に1度の金融危機と言われたリーマンショックが起こった年です。最終的に2008~11年をゴールとする4つの期間で損失を出しています。これは先ほどの20年の積み立て投資で資産を倍にできたシミュレーションの中で、含み損が出続けていた時期にあたります。

この4年間は、リーマンショックの暴落を機に、株価が低迷を続けた期間で、100年に1度レベルの金融危機に1ドル70円台という歴史的な円高が重なりました。歴史的な株安と歴史的な円高のダブルパンチという、日本人の投資家にとっては歴史的な不運に見舞われた期間といえるでしょう。

しかし、12年には株価が上昇に、為替も円安に転じており、この12年をゴールとする10年間からは、利益を出すことができるようになっています。

これらのデータでわかることは、積み立て投資はゴールの時期の相場環境が、全体のパフォーマンスに大きな影響を与えるということです。勝率自体は81%と高いうえ、勝った際の利益率も平均で70%と十分な成績だとはいえますが、ゴールの時期が深刻な金融危機と歴史的な円高に重なってしまうと厳しい状況におかれてしまうことがわかります。

15年継続するとマイナス幅が小さくなり利益が大きくなる

では、積み立て投資を15年に延ばした場合はどうでしょうか。以下は1994年を起点に94年から15年、95年から15年というふうに、直近までの16パターンを調べた結果です。

[図表2]積み立て投資を15年継続した場合の成果(為替変動込み)

結果は13勝3敗で勝率は10年の積み立ての場合とほぼ同じ81%ですが、最も負けた場合の損失がマイナス11%と、10年の場合の34%に比べるとマイナス幅を小さくできています。

逆に最も利益が出た場合の利益率は328%で、こちらも10年の168%を大きく上回っています。平均の利益も123%と、10年の70%の1.75倍になりました。

このシミュレーションからわかることは、積み立て投資では10年よりも15年続けたほうが利益をより大きくでき、うまくいかなかった場合の損失も小さくできるということです。

ですから、私は自分のお客様に対しては、最低15年は継続する前提で積み立て投資を始めてくださいとアドバイスしています。

投資塾ゆう

投資アドバイザー

※本記事は『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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