青天の霹靂だった移籍から再起へ 巨人・高橋礼、西武・甲斐野ら新天地で輝く元ソフトバンク戦士たち

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高橋礼が巨人で先発として復活

昨年オフ、ソフトバンクに在籍していた多くの選手たちがトレードや人的補償、現役ドラフト、戦力外通告などを球団から言い渡され、他球団へと戦いの場を移した。そんな元若鷹軍団の戦士たちが新天地で輝きを放っている。

昨年11月にアダム・ウォーカーとの1対2のトレードで巨人へ移籍した高橋礼は、2月のキャンプから一軍に帯同。オープン戦では2試合に先発、計9イニングを投げて1失点とアピールに成功し、開幕ローテを勝ち取った。

開幕3戦目、3月31日の阪神戦(東京ドーム)で移籍後初登板のマウンドに上がると、6回を1安打無失点の快投。白星こそ付かなかったが、昨季の日本一チーム相手に堂々たる投げっぷりを披露した。

そして2度目の先発となった7日のDeNA戦(東京ドーム)でも6回3安打無失点と好投し、移籍後初勝利をマーク。高橋自身にとっては2021年4月17日の西武戦以来、1086日ぶりの白星となった。これで開幕から12回無失点。2019年に新人王に輝くもここ数年不振の続いたサブマリンが浮上のきっかけをつかみつつある。

高橋とともにトレード移籍した泉圭輔は開幕を二軍で迎えるも、イースタン・リーグで6試合に登板、計6イニングで2安打無失点、奪三振率9.00をマークし、7日に一軍へ昇格した。そして12日の広島戦(東京ドーム)で、2点ビハインドの6回に2番手として移籍後初登板。1イニングを無安打2奪三振無失点に抑え、直後の攻撃で味方が逆転に成功したため、移籍後初勝利のおまけ付きと幸先の良いスタートを切った。

甲斐野央は西武でセットアッパーに

FA移籍した山川穂高の人的補償として西武に加入した甲斐野央も開幕から躍動している。

2018年ドラフト1位でソフトバンクに入団した右腕は、2年目のオフに右肘の手術を受けて以降は苦しいシーズンが続いていた。昨季終盤に10試合連続無失点を記録するなど、46登板で防御率2.53をマーク。ようやく自身の投球を取り戻しつつあった矢先の移籍は、まさに青天の霹靂だっただろう。

それでも持ち前の明るいキャラクターですぐにチームに溶け込むと、甦った剛速球とフォークで首脳陣の信頼をすぐに勝ち取り開幕一軍入り。迎えた楽天との開幕戦、1点リードの8回に起用されると、2奪三振無失点で移籍後初ホールドをマークした。ここまで全6登板で8回を任され4ホールドと、早くもセットアッパーとしての地位を確立している。

前年には同じく人的補償で日本ハムへ移籍した田中正義が、クローザーとして25セーブを挙げるなど大活躍。ルーキーイヤ―に65試合登板して以来の50登板を目標に定める甲斐野も、シーズンフル回転でチームの勝利に貢献できるか注目だ。

現役ドラフト、戦力外組の活躍も

現役ドラフトで日本ハムへ移籍した水谷瞬は、一軍デビュー戦で古巣へ恩返しの一打を放った。元若鷹は開幕一軍こそ逃したが、二軍戦13試合で4二塁打、4本塁打と持ち前の長打力を発揮し、古巣戦に合わせたかのように一軍へ昇格。11日の第2戦(北九州)でスタメン起用され、3回に同点に追いつく適時打を放ち、プロ初安打、初打点をマークした。

ソフトバンク時代は選手層の厚さに阻まれ、5年間で一度も一軍に上がることができなかったが、新天地で大きく羽ばたく予感を漂わせている。

戦力外組の奮闘も目立つ。中日に移籍した上林誠知は、ここまで12試合中8試合でスタメン起用され、マルチ安打1度含め5試合でヒットを放ち、外野のレギュラー獲得へ猛アピール中。ヤクルトの嘉弥真新也は貴重な左キラーとして開幕一軍入りし、すでに5試合に登板している。

同じくヤクルトの増田珠は、ここまで二軍で16試合に出場し、打率.322をマーク。また、DeNAへ移籍した森唯斗は二軍で3試合に登板(2先発)して防御率1.93を記録し、12日に一軍へ昇格するなど、虎視眈々と活躍の機会をうかがっている。

今季も育成含め12球団最多の119選手が在籍と、他球団の追随を許さない巨大戦力を誇るソフトバンク。その分、様々な事情でチームを去る選手は多いが、秘めたるポテンシャルが高いことを早くも示している。今季終了後、彼らがどんな成績を残しているのか期待してその活躍を見守りたい。



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