オーガスタの案内板を引っこ抜く デシャンボーが“奇想天外”バーディ

13番プレー中にコース内の案内板を自ら運ぶデシャンボー(Maddie Meyer/Getty Images)

◇メジャー第1戦◇マスターズ 2日目(12日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7555yd(パー72)

アーメンコーナーの出口となる13番(パー5)。左ドッグレッグのホールでティショットが正面の松林まで転がってしまうのは「マスターズ」でもおなじみの光景だが、やはりブライソン・デシャンボーはスケールが違う。突風でドローがかからず真っすぐ飛んだ1Wショットは松林の奥深く、ギャラリーロープの向こう側まで到達していた。

2打目の選択は奇想天外。最初に戻そうとした13番のフェアウェイにくるりと背中を向けると、隣接する14番に“レイアップ”した。「13番に戻せないかなと思ったけれど、(残り)200ydくらいのところにしか打てなかったと思う。14番に打てば、140~150ydの3打目が打てると分かっていたから、それしか選択肢はなかったんだよ」

パトロンに移動してもらって安全を確保し、トイレやショップの位置を示す巨大な案内板が邪魔にならないように地面から引き抜き、自ら丸太のように担いで運ぶ一幕も。「僕はみんなを誘導しようとしたんだ。トイレに行く人とか…」と笑わせた後、130ydほどの3打目がパーフェクト。奥のピンをしっかり攻め込んでバーディにつなげた。

デシャンボーはマスターズで首位ターン(撮影/高藪望)

フォローの風に乗せた17番の1Wショットは372ydと驚がくの飛距離を記録した。圧巻のパワーだけではない。Avodaゴルフとのコラボレーションで設計したプロトタイプアイアンは3Dプリントによって生み出され、ドライバーやフェアウェイウッドのようなフェースの膨らみがあるためミスヒットへの寛容性が高いという。9日(火)の朝にようやくUSGA(全米ゴルフ協会)からルール適合として承認されたばかり。まだバックアップのセットもない唯一無二のアイアンでフィールド2位のパーオン率72%(26/36)をマークしている。

強風の中で「73」とスコアを1つ落とす形にはなったが、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー、マックス・ホマと並ぶ通算6アンダー首位はキープして週末に臨む。「スコッティは明らかに世界最高の選手。僕ができることと、彼が何ができるかを比較して競い合えるのは本当に楽しみだ」。LIVゴルフの看板選手として、現在のPGAツアー最強プレーヤーとぶつかる構図を歓迎した。

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