「ベア」と略すベースアップとは? 基本給の水準、一律に引き上げ

ベースアップと定期昇給の違い

 2024年の春闘は、大手を中心に大幅な賃上げの回答が相次いでいます。賃上げの方法の中で注目されるのが「ベア」と略されるベースアップです。「ベア獲得」を伝えるニュースも目立ちます。どんな意味で、なぜ相次いでいるのでしょうか。Q&A形式でまとめました。

 Q そもそも春闘って?

 A 新年度が始まる4月に向け、多くの企業と労働組合が賃金や働き方について交渉し、決めるまでの行動です。労組が要求を出し、経営側が回答するのが春の時期なので「春闘」と呼ばれています。

 Q ベアとは?

 A 毎月の基本給(ベース)の水準を一律に引き上げる(アップする)ことです。同じような言葉に定期昇給(定昇)がありますが、これは年齢や働いた年数に応じて賃金が上がる内容です。ベアは人件費の負担が増すため、経営側は慎重に判断します。経営側の判断には景気や物価も影響します。

 Q 今春闘の賃上げ状況は。

 A 労組の全国中央組織である連合が4日に発表した中間集計では、傘下労組の要求に対する企業側回答の平均賃上げ率は5・24%でした。物価上昇や深刻な人手不足が要因で、大企業を中心に満額回答が続きました。このまま最終集計まで推移すれば1991年以来33年ぶりとなる5%台の賃金アップが実現します。

 Q 実現の可能性は。

 A 中間集計では、組合員数300人未満の中小組合の平均賃上げ率は4・69%でした。中小企業は取引先との力関係が弱い場合も多く、原材料などの値上がり分を価格転嫁できないケースもありますが、高い水準となっています。中小企業でも持続的な賃上げが進み、賃金と物価がそろって上昇する好循環が実現するといいですね。

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