平安貴族の装束再現 稲敷・大杉神社 宮司制作、14日まで展示 茨城

自ら制作した装束を紹介する市川久仁守宮司=稲敷市阿波

平安時代の貴族が身に着けていた装束を再現した「源氏物語展 衣装と花で見る平安絵巻」が、茨城県稲敷市阿波の大杉神社で開かれている。同神社の市川久仁守宮司(66)が趣味で作ってきた作品の一部を公開した。参集殿2階の大広間に展示された衣装の数は小物類を含め約150点に上る。14日まで。

市川さんは20代の頃から日本の伝統的な装束に関心を持ち、文献を頼りに自ら裁縫に取り組んだ。生地にもこだわり、当時の色合いを再現するため染色を特別に頼むなど、歴史考証も本格的だ。

展示は当時の貴族の一生に沿って幼少時から成人、葬儀の参列者が着る喪服に至るまで、男女の装束が並べられている。特別展示では、上皇さまの誕生間もない時期の「読書の儀」に臨んだ奉仕者の衣冠や、水戸徳川家に嫁いだ皇族女性が身に着けた小袿(こうちぎ)といった、珍しい装束の実物も並ぶ。

会場で彩りを添える生け花は、市内で華道を指導する根本勝子さんと生徒らが手がけた。根本さんが生け花を始めて50年を迎えたのを記念し、親交のある市川さんの企画に参加した。誕生、童子、成人といった人の一生の節目に合わせて花材を選んだという。

市川さんは「どれも多彩な色使いだが、特に女性の服は豪華。現代の衣服とのつながりも感じていただければ」と話している。

展示は2019年に2度行われた。今年秋にも開催を予定しているという。

© 株式会社茨城新聞社