【先週読まれた人気記事】アニメ『葬送のフリーレン』編集部が選ぶ、“もう一度見たい「迷」場面”

2023年9月より約半年間にわたって放送されてきたアニメ『葬送のフリーレン』。“魔王討伐後”という斬新な時系列で展開する本作には、胸に刺さるドラマやセリフ、魔法や剣による激しいバトル、思わず笑ってしまうユーモアなど見どころが満載。現在発売中の原作コミックスは累計部数1,700万部を突破しており、4月17日には最新13巻も発売予定だ。今回は3月22日にアニメの方が最終回を迎えたことを記念して、もう一度見たい名場面ならぬ“迷場面”をentax編集部がチョイス。ぜひ、ご自身の好きなシーンを思い浮かべながら読んでみてほしい。

(以下、アニメ最終話までのネタバレを含みます)

◆迷場面その①「やたらと“丸い”フェルン」

フリーレン(声:種﨑敦美)の弟子として共に旅をする、魔法使いフェルン(声:市ノ瀬加那)。作中では幼少期の様子から一級魔法使いに合格するまで、いち視聴者として最も長く見続けたキャラクターのひとりだ。

そんなフェルンは事あるごとに「むっすー」と頬を膨らませ、周囲の手を焼かせる。真面目な性格ゆえなのか、まだまだ子どもらしさが残っているのか、いずれにせよ“見ている側”としてはとてもいとおしいキャラクターだ。特に膨らんだ頬の丸みは絶妙にして見事。創業50年を超えるアニメ制作会社マッドハウスの作画力に拍手を送りたい。

シュタルクに“激おこ”なフェルンと、なだめるザイン(声:中村悠一)斜め後ろからのアングルも素晴らしい(第14話より)

◆迷場面その②「( ´≡ω≡`)」みたいな顔

フリーレンの劇中には、“出てくるとうれしいもの”がいくつかある。例えば、必ず名言を残す勇者ヒンメル(声:岡本信彦)との回想や、シュタルク(声:小林千晃)とフェルンの“イチャイチャ”ぶりなど。中でも、フリーレンたちが時折見せる“なんとも言えない表情”は、ついつい一時停止で見たくなってしまう。

画面左下でカンネ(声:和氣あず未)たちを見つめるフリーレンの顔がツボ二人のケンカを見守る時はいつもこの顔を見せていた(第25話より)

この「( ´≡ω≡`)」は、アニメでは特にフリーレンが見せていた印象が強いが、一級魔法使い試験の最後にはあの大魔法使いゼーリエ(声:伊瀬茉莉也)も同じ表情を浮かべており、視聴当時には完全に不意打ちを食らってしまった。

◆迷場面その③「さりげないユーモア」

人の持つ優しさや強さ、心の機微が多く描かれる葬送のフリーレンという作品は、キャラクター同士の会話劇も見どころの一つだろう。第10話で「私は500年以上生きた大魔族だ」と負けを認めない断頭台のアウラ(声:竹達彩奈)に、フリーレンが「お前の前にいるのは1000年以上生きた魔法使いだ」と言い放つシーンなどは圧巻の一言だった。その中で編集部として推したいのは、随所に挟まれるユーモラスなやりとりだ。

例えば第7話、珍しく早起きをしたフリーレンに驚愕(きょうがく)したフェルンが、「こういう時はしっかり褒めないと」とご飯を食べさせてあげるシーン。旅に加わったばかりのシュタルクは「…何これ?」と腑(ふ)に落ちない様子だったが、フェルンは実に真剣な面持ち。このシーンの手前には、フリーレンが勇者一行との旅のなか、自身の師であるフランメ(声:田中敦子)を思って「(おとぎ話になるほど)それだけの年月が経った。あの人の顔を覚えているのは、たぶん私だけだ」とつぶやく寂しげなシーンがあり、その落差も相まって心を揺さぶられた覚えがある。

フェルンとシュタルクの表情のギャップも面白い(第7話より)

また、北側諸国のシュヴェア山脈を訪れた第11話、猛吹雪に見舞われ遭難してしまった際の“シュタフェル”の会話も印象的だ。あまりの寒さに気絶してしまったシュタルクが「ジャンボベリースペシャルってこんなに小さかったっけ…」と夢うつつにつぶやくと、フェルンは「知りませんよ、そんなこと」とバッサリ。動けないその体を山小屋までかついでいく際には、フェルンの背中で「…いい匂い」とつぶやくシュタルクに「…置いていっていいですか?」とさすがの塩対応を見せた。命がかかった危険な場面でも、こうした少しの会話で笑わせてくれるのは、葬送のフリーレンという作品ならではのものだろう。

山小屋では僧侶クラフト(声:子安武人)との出会いも描かれ、印象深い回となった(第11話より)
“このパーティには年上のお姉さんがいない”と嘆くザインの右下にチラリと映り込むフリーレンの眉毛こういうちょっとしたカットにもさりげないユーモアが現れていた(第15話より)

©山田鐘人・アベツカサ/小学館/「葬送のフリーレン」製作委員会

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