【テニスルール虎の巻】ゲーム中に起きた“コートの土煙”を理由にポイントのやり直しはできるのか<SMASH>

多くのアマチュアは自分自身でゲームの判定を下す「セルフジャッジ」でテニスの試合をしています。「自分で判定するなら簡単」と思うかもしれませんが、それは大間違い。いい加減な判定によってトラブルを起こすことが多々あるからです。

そうしたトラブルなしで試合を楽しむには、とにかくルールに詳しくなることが大切です。そこでテニス四大大会の出場経験を持つ元プロ選手で現在公認審判員も務める岡川恵美子氏にケース別でルールについて解説してもらいました。

今回は「強風によるコート上の土煙」についてです。ゲーム中に強風で土煙が立ちましたが、なんとかボールを返したものの「外部からの妨害」を理由にプレーを中断し、ポイントをやり直せるのでしょうか…。

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その土煙がどの程度のものかによって判断は変わります。なぜなら判断する対象が自然現象だからです。

例えば、コート上で突風が吹いて驚いた、急に日差しが強くなったことで眩しくなった、ということとコート上の「土煙」は同等だと考えられるからです。よって土煙が立ったことを理由にレット(やり直し)にはできません。

例えば、AとBが試合をしていました。Aが打った後に猛烈な土煙が起きたものの、BはなんとかAのボールを打ち返したとします。こうした場合、今度はAが土煙のなかでBのボールを返さなければなりません。それができないならば(プレーが続かなければ)、Aはポイントを失うことになります。
とにかく自然現象の場合は、「外部からの妨害」が適用されないので、プレーを始めたらポイントが終わるまで続けなければならないのです。土煙によって目にゴミが入ってしまったとしても、ポイントが終わるまでは止められず、止めた側は失点となります。

ただしこれには例外があります。それは猛烈な土煙が両方のコートで発生し、その影響で両方の選手(チーム)が「これではとてもプレーを続けられない」と判断した場合です。そうしたケースでは両者が納得のうえ、レットにしてもいいのではないでしょうか。

解説●岡川恵美子
17歳で全日本選手権を制覇して日本初の高校生プロとなる。グランドスラム(四大大会)では、全豪オープン3回戦進出をはじめ、全仏オープンやウインブルドンの本戦に出場。現在はベテラン大会に挑戦しながら、ITF公認審判員、JTA公認審判員も務める。

構成●スマッシュ編集部
※スマッシュ2024年3月号より抜粋・再編集

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