五島の食害魚をドッグフードに 立命館大が磯焼け対策 藻場再生へCFで資金募る

プロジェクトの概要

 深刻化する磯焼け対策として、立命館大は、五島近海で藻場を食い荒らす低利用魚を駆除・加工し、ドッグフードとして販売するプロジェクトを進めている。商品化のめどが立ち、3月からクラウドファンディング(CF)も開始。新たな地域ビジネスを創出し藻場再生を目指す。

 同大立命館グローバル・イノベーション研究機構の光斎翔貴准教授(循環経済)によると、温暖化や魚の食害などの影響で全国で藻場の減少が急速に進む。中でも沿岸に生息するイスズミやアイゴといった魚の食害が深刻で、駆除対策が追い付いていないのが現状という。
 光斎氏は、食用には適さないが栄養価の高いこれらの低利用魚についてドッグフードの原料として活用することを考案。2022年から準備を進め、商品化のめどが立ったことから今年2月、同大発の販売会社を福岡市に設立した。熊本県の会社に製造を委託する。
 具体的には、五島周辺で取れた魚を五島市内ですり身などに加工。製造会社を経て商品化したドッグフードを新会社が販売する。CFで資金を募り、9月から1袋3500円で販売する予定。5期目で5千万円の売り上げを目指す。
 今後、長崎大や五島市とも連携し、周辺海域の藻場をモニタリングしながら、漁獲と藻場再生の関係性などの分析も進める考え。12日にオンラインで会見した光斎氏は「実践と研究を融合させながら、低利用魚の有効活用と藻場回復を両立させていきたい」と話した。

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