風とグリーンとアーメンコーナー 久常涼が次への糧にする“+12”「来年戻ってこられるように」

人生初のマスターズは予選敗退となった久常涼(撮影:GettyImages)

<マスターズ 2日目◇12日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7555ヤード・パー72>

21歳の初めてのオーガスタは、ほろ苦さが残る場所になった。久常涼はトータル12オーバーで予選落ちが確実になったラウンド後、悔しい表情を浮かべながらも、「いい経験になった。来年戻ってこられるようにまた頑張りたい」と前を向いた。

「しっかりアンダーを出すぞ」。前日の「78」というスコアを取り戻す決意で臨んだ第2ラウンドは、午前中から風が吹くなか1番でいきなり6メートルのバーディパットを沈める幸先のいいものだった。しかし、3番、4番で3パットのボギーを叩くと、5番まで3連続でスコアを落としてしまう。

「(グリーンの)速さはほぼ同じだったと思う。ただラインになかなか乗せられないというか、そのあたりですごく苦労した2日間でした」。初日33回、2日目32回という結果に終わったパッティングが、流れに乗れない原因になってしまった。

平均ストローク4.629で2日目の最難関ホールになった、アーメンコーナーの11番パー4は、特に“思い出の場所”になってしまった。セカンドショットがグリーンに届かず、傾斜で池に落ち、2日続けてのダブルボギーを献上した。「攻める状況だったので、しっかりギリギリに打った。(ダイレクトで池に入った)きのうよりは少し惜しい入り方だったので、来年に向けてもう少し右に打てる練習をしておきます」。この予選ラウンドは、吹いたりやんだり、舞ったりする気まぐれな風にも翻ろうされ続けた。

昨年、DPワールド(欧州)ツアーに参戦すると、ルーキーながら9月の「カズー・フランスオープン」で初優勝を挙げた。その年に日本人で初となるツアー新人王に輝くと、今年から米国男子ツアーに主戦場を移した。そして、特別招待という形で、今回オーガスタの芝を踏むことができた。ここからは次の挑戦がかなうよう、再び牙を研ぐ生活が始まる。

「この舞台を早く踏めたことはすごく良かった。特別招待は本当にありがたかったですし、必ずまたこの舞台に戻ってこられるように頑張りたい。いろいろと課題が見つかりました。(マスターズ出場権が得られる)世界ランキング50位以内もそうですけど、このツアーで勝てるようにこれから準備したい」

この後は一度日本に戻り、調整。次は5月2日開幕の「ザ・CJカップ・バイロン・ネルソン」(米テキサス州)に出場するため、再び渡米する予定を組んでいる。「きのうボロボロと崩してしまったのがきょうにも響きました。もう攻めるしかなかったなかで、スコアが離れてしまった。今の自分の実力では、このコースを赤(アンダー)で回るのは難しかった」。潔く完敗を認めた若きサムライは、この“+12”という結果を未来につなげていく。(文・間宮輝憲)

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