まさに千両役者。2試合連続ゴールの柏FW木下康介が点を取るために意識していること

[J1第8節]柏 1-0 浦和/4月12日/三共フロンテア柏スタジアム

4月12日に開催されたJ1第8節で、柏は浦和を本拠地に迎え、1-0で勝利。決勝点を挙げたのは木下康介だ。

ベンチスタートだった29歳の長身FWは、58分に途中出場。すると72分、マテウス・サヴィオからのクロスを右足で巧みに合わせ、ゴールネットを揺らした。前節も途中出場から得点しており、これで2戦連発だ。

この試合、2トップでスタメンに名を連ねたのは小屋松知哉とM・サヴィオ。エース格の細谷真大がU-23代表活動で不在のなか、木下の先発を予想した人も多かったかもしれないが、そうはならなかった。

試合後、井原監督は「木下を途中から入れたほうがより良い、チームのパワーになると考えていた」と明かす。その言葉通りに、勝利へ導く采配となった。

得点シーンで注目すべきは、木下のゴール前での動きだ。右サイドに流れたボランチの白井永地がキープした時、ゴール前の木下は手を挙げてボールを要求。しかしそこでクロスは上がらず、M・サヴィオに展開される。

相手につかれている木下は、マークを外すというよりはその場に留まり、M・サヴィオのセンタリングを待った。相手の右SB石原広教は、木下のマークをCBの佐藤瑶大にスイッチ。そのタイミングでM・サヴィオはクロスを送りこみ、木下はゴールから離れながら合わせたシュートで、得点を決めた。

欲しいタイミングでボールが来なかった時、動きすぎてしまったり、クロスに対してニアに飛び込んだりしそうな場面に思えたが、木下はそうしなかった。

【PHOTO】素晴らしい空気を作りホームでの勝利を後押しした柏レイソルサポーター!
「まず、遅い攻撃の時はあまり動かないようにしている。動いても相手が密集していると逆効果になるし、それならその場にいたほうが味方も合わせやすいと思うから。それに自分は身長があるので、助走なしのジャンプでも競り合いに勝てる。あまり余計なことはせずに、ターゲットになることを意識している」

決勝点を沈めた木下は冷静に解説してくれた。プレーを言語化することで再現性が生まれる。190センチのサイズも魅力で、自分の強みを活かすための動きをしていた。その特長をチーム全体で把握し、活用する。それが、木下が結果を出せている理由だろう。

昨季はぎりぎりで残留して、主力数名も抜けた柏は、現在暫定5位と躍進。木下ら新加入選手もそれぞれが特長を発揮し、それをチーム全体で理解して戦うスタイルが定着しつつある。今季すでに4得点の木下も、より多くのゴールでチームの勝利に貢献する。その活躍に注目だ。

取材・文●平龍生(サッカーダイジェスト編集部)

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