高齢女性殺害から2年…民家点在する山間部、防犯カメラ乏しく 地元の不安募るが、県警は「捜査難航ではない」 鹿児島・鹿屋

規制線が張られた女性宅=11日午前10時半ごろ、鹿屋市永小原町

 鹿児島県鹿屋市永小原町の無職女性=当時(86)=が殺害され、近くの山林で見つかった事件は、13日で遺体発見から2年がたつ。県警捜査本部(本部長・中野誠刑事部長)は延べ約2万7000人の捜査員を投入しているが、大きな動きは見られていない。捜査本部は「一つ一つ捜査を確実に進めている。長期化しているが難航ではない」と説明。地元住民からは「情報が途絶えて不安だ」と漏れる。

 捜査本部は12日、鹿屋署で検討会を開き、捜査員ら約50人が参加した。冒頭以外は非公開。中野捜査本部長は「集めた情報の重要性をいま一度認識し取り組んでほしい。一日も早く真相解明しなければならない」と訓示した。現在は20~30人態勢で調べを進め、現場周辺の警戒も続けている。

 現場は鹿屋市役所から南西に約8.5キロ離れた山間部。周辺は民家が数軒点在する程度で、市民でも場所を知らない人は少なくない。捜査が難しい要因の一つには防犯カメラの設置が乏しいこともある。捜査関係者によると、地理的事情を背景に、土地勘のある人物の洗い出しにも注力してきた。

 しかし、事件構図は2年たった今も判然としていない。捜査本部は当初から、怨恨(えんこん)や物取りなど「あらゆる可能性を捜査している」との説明に終始。外傷部位や死亡推定時刻、自宅と遺体発見現場の位置関係なども明らかにしていない。

 近くの70代男性宅には、事件後1年ほどは毎日のように捜査関係者が訪れ、不審な車の有無などについて聞かれた。「解決するまで不安な気持ちは常にある。事件があってから、毎晩軒先に明かりをともすようになった」。別の70代男性は「事件は今でも信じられないが、時間がたって、地域でも話題になることはなくなってきた」と明かした。

 女性の遺体は2022年4月13日夕、自宅近くの山林で、高さ約6メートルの地点から落下したとみられる状態で発見された。司法解剖で死因が外傷性ショックと分かったことなどから発見2日後に、殺人・死体遺棄事件と断定し、捜査本部が設置された。

〈関連〉規制線が張り巡らされた女性宅周辺=11日午前10時20分ごろ、鹿屋市永小原町

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