京成電鉄(市川市)は、鉄道発着拠点の成田空港の機能強化を見据えて酒々井町にある宗吾車両基地の拡充工事に乗り出した。施設老朽化が進む同基地内の整備工場を拡張用地に移転建て替えし、年間の車両検査能力を強化。空港利用者の増加に伴う増発に対応できるようにする。11日に拡張工事の起工式があり、関係者が安全を祈願した。新工場の完成は、成田3本目の滑走路新設に合わせ2029年3月を予定する。
京成電鉄の車両基地と車庫は東京都内と県内に計三つあり、定期検査は宗吾でのみ実施。整備工場が稼働から半世紀近く経過して老朽化したことから、敷地南側で取得した拡張用地への建て替えを決めた。工場面積は現在の2.2ヘクタールから3.2ヘクタールに拡大する。
現工場では車両を移動する際にクレーンで持ち上げているが、新工場では地上に置いたまま平行移動できる装置も導入。作業効率を向上させ、年間の車両検査能力を今の220両から250両にまで引き上げる。
昨年12月、施工業者を戸田建設、鉄建建設、京成建設の3社に決定し、準備工事などを始めていた。起工式には、小坂泰久町長ら町関係者を含む約40人が出席し、京成電鉄の田中亜夫・取締役常務執行役員と施工業者3社の社長らが順番にくわ入れした。
現工場については新工場の完成を経て29年度以降に解体・撤去し、空きスペースを有効活用して同基地の拡充を進めていくという。